メルカリでしばしば問題となる“高額転売”。マスクの転売が規制されれば、手作りマスクの材料のゴムひもの転売が始まる。体温計の転売が規制されれば、体温計用の乾電池の転売が始まる。いくら規制しても “いたちごっこ”で、転売は一向になくなりません。
転売をする人を指す転売屋とバイヤー(仕入れ業務をする人)を合わせた造語も生まれ、主に悪質な転売をする人は“転売ヤー”と呼ばれるています。
今回は、ある転売ヤーになぜ転売をするのか? どんな気持ちで転売をしているのか? など、話を聞いてみました。
ある転売ヤーの主張「これでご飯を食べていこうとは思ってない」
Q:なぜ転売を始めようと思ったんですか?
-靴が好きで個人的に海外のサイトなどから割安なものを買っていたら、家族から「そんなに好きだったら転売とかしてみたら?」と勧められたので。
Q:これまでどんなものを転売しましたか?
-服、靴、バッグ
Q:主にどのような方法で転売しているのか教えてください。
-海外の通販サイトで、日本の売値より安いものを見つけて購入~販売。自宅で在庫管理しているため、リビングにも積んである状態です。
Q:転売することに罪悪感はないのでしょうか?
-ありません。仕入れと捉えています。
Q:転売をやめようと思ったことはないんですか?
-やめようと考えたことはありません。
Q:転売するにあたり自分の中のルールはありますか?
-好きなものを買うようにしています。あとこれでご飯を食べていこうなどとは思っていないので、あくまで趣味の1つです。
Q:これまでどれくらいの利益を上げたことがありますか?
-半年間ほどで、およそ100万円の利益をあげたことがあります。1つの商品の利益としては高くて5000円ぐらいでしょうか。無料でもらったものが5000円で売れたこともあります。手間賃も考えると一撃で儲かるというものではないですね。
Q:売れなかった商品はどうしているんですか?
-自分で使います。
Q:転売が運営事務局にバレて警告を受けたことはありますか?
-チケットの転売などルール上アウトなことはしていませんが、メルカリではアカウントが凍結されてしまいました。具体的な原因はわかりません。今はメルカリ以外のフリマアプリを利用しています。
転売は犯罪なのか
そもそも、転売は犯罪なのか? すべての転売が違法というわけではありません。
転売が違法となるのは……
・中古品を転売目的で購入、販売した場合
└リサイクル品を扱う古物商許可を取得しなければならない。無許可で行った場合には古物営業法、違法にあたる。
・チケットの転売(ダフ屋行為)
└都道府県ごとに定めている迷惑防止条例に違反。もしくは、チケット不正転売禁止法、違法にあたる。チケット販売業者をだましてチケットを買ったとして、詐欺罪にあたる場合もある。
・衛生マスクを転売した場合
└新型コロナウィルス流行によるマスク転売が問題視され、2020年3月15日以降、衛生マスクを定価より高く転売した場合、違法となる。
つまり、今回話を聞いた転売ヤーの方の、新品の商品を入手して転売するという行為は、違法ではないということになります。
事実、メルカリでの収入アップや、転売・物販ビジネスを教えるセミナー「メルカリアカデミー」なるものも存在し、最近はインスタグラムでもよく広告が流れてきます。
どこからが“悪意のある転売”なのか? その線引きは非常に難しいですし、仕入れて売るという行為を転売だと思っておらず、副業の1つと捉えている人も多いのかもしれません。
一方で、なんとなく罪悪感があるけれど最初はちょっとした転売から始まり味をしめてしまった、だんだんと感覚がマヒしてしまったという人もいるのかもしれません。
私個人の意見としては、例えば大人気コンテンツ『鬼滅の刃』の新刊やグッズが買い占められ、高額で転売される。本当に欲しい人が正規の値段で入手できなくなる。という状況には、疑問を感じずにはいられません。
転売が横行するのは、高額でも買う人がいるからです。自分に何ができるのか? 転売目的でモノを買わない。無料でも不要なモノは受け取らない。転売ヤーからモノを買わない。
何が正解なのか難しいですが、“悪意のある転売”がなくなることを切に願います。