「Vコーンノック」水性なのにノック式! 書き心地も抜群なさらさら書けるボールペン

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 いまお手元にあるボールペン、書き心地って重たいですか。それとも、さらさらですか。

 ボールペンはインクの種類で分類しますと、油性、水性、ゲルインクの3つに大別できます。

 油性ボールペンは事務用や多色ボールペンなどでもお馴染みの、染料を有機溶剤(油性)で溶かして作る粘度の高い、ねばっとしたインクを使用しています。

 水性ボールペンは、染料や顔料を水に溶かして作る粘度の低い、さらさらしたインク。

 ゲルインクボールペンは、染料や顔料を水に溶かすのですが、リフィル内部ではゲル状(固体)で、書き出すとゾル(液体)に変化するインクです。

 油性ボールペンが主流だった1960年代、世界初の水性ボールペンが生まれました。時期やメーカーは諸説あります。人気が上昇したきっかけは、1972年にぺんてるが発売した水性ボールペン「ボールぺんてる」でした。細い線を書くことは苦手でしたが、濃くたっぷり出るインクの視認性は油性のそれを上回り、書いたときの軽さも相俟って、それから水性ボールペンは一般的な筆記具として広く普及していきます。

 サクラクレパスが1984年に世界初のゲルインクボールペン「ボールサイン280」を発売したときも、未だに水性ボールペンは一般的な筆記具として世に流通していました。各筆記具メーカーはゲルの時代が来るまでの間、水性ボールペンの開発を惜しみませんでした。

 ほぼ同時期、パイロットは直液式の水性ボールペン「ハイテックポイントV5」を発売しました。直液式とは、インクを中綿に染み込ませる従来のやり方ではなく、直接本体に液体として格納する方式を言います。中綿式に較べインクがたっぷり出ることによる筆記の快適さが利点で、中綿式の弱点でもあった徐々にかすれる筆記線の不便さを解消することにも貢献していました。

 パイロットは直液式の筆記具をVシリーズと命名し、1988年に使い切り万年筆の「Vペン」、1990年に水性ボールペンの「Vコーン」を発売しました。

 今回ご紹介するVコーンノックは、この時に生まれたVコーンと同様の直液式水性ボールペンでありながら、ノック式となり便利になった筆記具です。

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 Vコーンノックには、母体となる製品があります。2008年にパイロットが発売した「VボールRT」です。

 筆記具メーカーは国内モデルと海外モデルを分けて発売するケースが多いのですが、VボールRTは国内モデルと海外モデルが同一デザインです。ノック式の直液式水性ボールペンとしては世界初の製品でもありました。

 水性ボールペンは、インクが液体です。キャップ式であれば乾燥や蒸発を防ぐ機構を持たせることが可能ですが、ノック式は蓋にあたるものがなく、気密を保つことができません。水性でノック式がほぼ存在せず、2020年現在ほとんどのノック式ボールペンが油性かゲルインクなのも、この乾燥や蒸発が大敵だからです。

 VボールRTの最大の特徴は、ペン先のボールを内部からバネで押して筆記していない状態での乾燥を抑え、またインクそのものも垂れ下がらないよう改良を加え、ノック時のショックなどでインク漏れが起きにくい改良を行ったことでした。

 今回発売となったVコーンノックも、VボールRTと同じレフィルを搭載し、同等の能力を持っています。

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 Vコーンノックには、0.5ミリボールと0.7ミリボールの製品があります。インク色はともに黒、赤、青の3色です。キャップ式のVコーンは2020年現在、0.5ミリボールの黒、赤、青が販売されていますから、線幅が選べるのはノックのほうだけですね。

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 0.5ミリはボディが半透明で、レフィル内部のインクの減りが良くわかるデザインです。0.7ミリは不透明ボディです。0.5、0.7ともにラバーグリップは透けているのですが、赤以外は視認性が悪く、黒などは内部がほとんど判りません。

 ペン先が紙に当たればインクが出てくるため、筆圧は必要なく、書き心地は徹底的に軽くて滑らかです。キャップ式であるVコーンはバネでボールを押していないので紙に触れた瞬間からたっぷりインクが出てきますが、Vコーンノックはバネを押し込んでいるため、ボール回転の振動が指先に伝わってきます。Vコーンノックは、Vコーンよりも筆線が細くなるのも特徴です。

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 VコーンとVコーンノックはともに染料系のインクですが、Vコーンは染料系としては最強の耐水性を有しています。片やVコーンノックのインクには耐水性はありません。 

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 キャップ式の製品を以前からご存知の方は「Vコーンにノック式が出たのか!」と喜ばれるかもしれませんが、実際に使用してみると違いが判ります。書き心地、発色、持ったときの感触──ただ、水性ボールペンとしての快適さは両者とも遜色ありませんし、ノック式にしかない利便性は他に代えがたいものがあります。

 また今まで油性やゲルインクしか使ったことないなかった方にも、筆圧いらずで濃くさらさら書けるペンのひとつとして、一度ぜひお試し頂きたい製品です。

(他故壁氏)

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