コロナで急増する解雇・雇い止め 違法と適法の線引きはどこに?

文=宮西瀬名
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GettyImagesより

 厚生労働省のまとめによると、新型コロナウィルスの影響により、解雇や雇い止めにあった人は約3万人を超えた。まさに未曾有の事態だが、そもそもこうした事態における解雇や雇い止めは妥当な判断と言えるのか。

 7月13日放送の『モーニングCROSS』(TOKYO MX)では、弁護士の横山智実氏が違法な雇い止めについて解説した。横山弁護士は整理解雇を検討する企業が増えつつあることを示唆し、労働者の目線に立ってわかりやすく説明していた。

  “雇い止め”とは「派遣労働者やパート・アルバイトなどの非正規労働者が、新しく更新をせずに最初に決められていた期間を満了すること」だ。つまり適法な雇い止め(純粋有期契約タイプ:定められた期間を満了して雇い止めをすること)はもちろんある。一方で、違法な雇い止めもある。それは以下の2つだ。

・実質無期契約タイプ:過去に何度か契約更新されており、正社員と同じような働き方をしているタイプ

・期待保護タイプ:これまで繰り返し契約更新されており、契約当初に「雇用を継続させるよ」と期待を持たされていたタイプ

 この2つのいずれかに該当し、雇い止めに合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない場合は、その雇い止めは違法、無効になるという。「自分の契約書はどうなっているのか」「正社員と自分の働き方を比較してどうなのか」「すでに何回か更新されているのか」「解雇理由が納得できるものなのか」などを、まず確認した方がいいそうだ。

 実際、厚生労働省の「労働契約の終了に関するルール」では、期間の定めのある労働契約(有期労働契約)を結んだ労働者の場合、以下のように記されている。

<有期労働契約においては、契約期間が過ぎれば原則として自動的に労働契約が終了することとなりますが、3回以上契約が更新されている場合や1年を超えて継続勤務している人については、契約を更新しない場合、使用者は30日前までに予告しなければならないとされています(「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」<厚生労働省告示>)。 >

<さらに、反復更新の実態などから、実質的に期間の定めのない契約と変わらないといえる場合や、雇用の継続を期待することが合理的であると考えられる場合、雇止め(契約期間が満了し、契約が更新されないこと)をすることに、客観的・合理的な理由がなく、社会通念上相当であると認められないときは雇止めが認められません。従前と同一の労働条件で、有期労働契約が更新されることになります。(労働契約法第19条) >

 一方、番組司会の堀潤氏は、新型コロナウィルスの影響により経営が悪化した企業でも、違法な雇い止めになってしまうのかと質問。横山弁護士は、違法な雇い止めになることはあり得るため、経営者の配慮が必要だと回答した。

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