コロナで急増する解雇・雇い止め 違法と適法の線引きはどこに?

文=宮西瀬名
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労働者には雇い止めの理由を聞く権利がある

 仮に経営悪化により雇い止めをする場合、上記の2つのケースに加え、下記の「整理解雇4要素」に当てはまらないと違法になってしまうという。

・人員削減の必要性:助成金の受給見通し、経営継続の見込みなど、雇止めの必要があるのかを客観的に仕方ないと判断できるか

・解雇や雇い止めを回避するための努力を尽くしたか:広告費か交際費、役員報酬など、削減すべきところも削減したか

・解雇や雇い止めされる者の選定基準と選定は合理的であるか:選定された人が解雇されることは適正かどうか

・解雇や雇い止めの手続きの相当性:会社側が労働者に対して、真摯に説明や協議を行ったか

 今年は新型コロナウィルスの影響から、会社存続に奔走するあまり4つ目の「解雇や雇い止めの手続きの相当性」を端折る経営者も出てきているという。

 だが経営者には雇い止めの理由を説明する義務がある。労働基準法で<使用者は、雇止めの予告後に労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。また、雇止めの後に労働者から請求された場合も同様です>と定められているのだ。

 そして労働者は経営者から雇い止めされた理由を聞く権利を持つ。もし雇い止めの理由に納得いかない場合、手続きの相当性について説明してもらうと良いだろう。

コロナ解雇に納得する人は半数以上

 裁判沙汰を嫌うため自主退職するように促す企業も存在する。横山弁護士は、「(自主退職するように)説得されたとしても労働者は首をすぐに縦に振らない。自主退職は合意なければ成立しないので、納得しないのであれば『会社のために働かせてください』と言いつつ、弁護士や第三者に相談していただければと思います」と、語気を強めた。

 株式会社カケコムが新型コロナウィルスの影響によって解雇された100人を対象に実施したアンケートによると、「あなたがあった解雇は違法だと思わない」(55%)と半数以上が回答した。一方で、「違法だと思う」と回答した人の中には、「まだ解雇されるほど影響を受けているとは思えないのに、早々と解雇されたので納得がいかない部分が大きいから」(30代女性)、「コロナで売り上げが落ちるどころか逆に上がっていたとも思うので、解雇された理由はコロナ以外にもあったと思うからです」(30代女性)と、雇い止めに納得していないとの声は少なくない。まずは弁護士や労働組合に相談して欲しい。

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