『タクシー運転手』の「光州事件」を「暴動」と表記した日本版Netflixが炎上

文=wezzy編集部
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『タクシー運転手 約束は海を越えて』公式Twitterより

 韓国映画『タクシー運転手 約束は海を越えて』(以下、『タクシー運転手』)に対する日本版Netflixの紹介文が炎上し、韓国メディアでも取り上げられる事態となっている。

 『タクシー運転手』は『パラサイト 半地下の家族』でも主演を務めた韓国の国民的俳優ソン・ガンホが主演を務めた2017年公開の映画(日本公開は2018年)。1980年に起きた韓国の民主化運動「光州事件」「5.18民主化運動」をテーマにした実話ベースの物語で、社会派映画にも関わらず1200万人以上の観客動員を達成。韓国映画史上に残る記録的な大ヒットとなった。

 日本版Netflixでも『タクシー運転手』を配信しているが、作品の紹介文に書かれていた言葉が物議を醸した。以下、全文を引用する。

<暴動を取材するというドイツ人記者を乗せ、光州を目指すタクシー運転手。それが人生を変える出会いとなるとは知るよしもなく…。実話に基づく感動の物語>

 軍事独裁政権に抗議し、自由を求めた光州の人々の声を「暴動」と表現した日本版Netflixの説明文。7月20日にこの文言を問題視する投稿がTwitterで拡散されたことから炎上した。同日中には韓国のテレビ局JTBCのテレビニュースとネットニュースでも取り上げる事態に発展している。

 現在、この説明文は修正されており、「暴動」ではなく「民主化運動」と書き直された。WEZZYではNetflixに対し、「暴動」という言葉を使った経緯、「民主化」に書き直した経緯、韓国メディアに取り上げられたことによる反応に関する質問を送付したが、日本版Netflix担当者は<お客様からのご指摘を頂き、本作の説明文を「民主化運動」へ変更いたしましたのでお知らせ致します>とだけ回答している。

 光州事件では、デモを起こした市民に対して軍が発砲し、多数の死者が出た。しかし、韓国政府がメディア統制を行っていたため、光州でなにが起きているかを外部の人は知ることができなかった。

 『タクシー運転手』は、暴力の脅威にさらされる光州の実情を世界に伝えて助けてもらいたいと願うタクシー運転手のキム・マンソプ(ソン・ガンホ)が、さまざまな困難を乗り越えながらドイツ人記者・ピーター(トーマス・クレッチマン)を光州まで送り届ける物語だ。

 「報道の自由」が、人々の自由な生活を守るためにいかに大切なものであるかを伝える、いまの日本の人々にとっても決して他人事では片付けられない教訓を伝える映画である。『タクシー運転手』が描いた光州の人々の運動を「暴動」という言葉で説明することは、まずありえない。

 Black Lives Matter運動の背景を知るための参考資料としてよく紹介される『13th -憲法修正第13条-』(2016年)など、Netflixは良質なオリジナルドキュメンタリーを多くつくり出している。そうした作品の説得力を失わなせないためにも、注意深く紹介文を書いてほしいものである。わずか100文字程度であっても、それは視聴者と映画とをつなぐ玄関口なのだ。

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