BTSはなぜ日本語でも歌うのか? K-POPアイドルが「日本語バージョン」を出す理由

文=DJ泡沫
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BTS公式Twitterより

 7月15日にBTSの2年半ぶり、通算4枚目のアルバム『MAP OF THE SOUL:7~THE JOURNEY~』がリリースされた。

 BTSが韓国でリリースするアルバムではタイトル曲は主にダンスパフォーマンスを主体とするアップテンポな楽曲が多い印象だが、日本でのアルバムのタイトル曲となるオリジナル曲はバラードだったり、ミドルテンポでメロディアスな、ラップよりはボーカルが主体の楽曲が多い。

 今回のBTSのアルバムに収録された「Lights」もミドルテンポのメロディアスな曲で「Your Eyes Tell」はバラード、「Stay Gold」はゴスペル調で、やはりボーカルパフォーマンスが主体の楽曲だ。韓国のタイトル曲でも「春の日(Spring Day)」のようなミドルテンポでメロディが主体の楽曲もないわけではないが、「日本語の楽曲」をリリースする際には韓国語の楽曲とは明確な差異をつける事を意識していると考えられるだろう。

 J-POPとK-POPの両方で多くの楽曲提供に参加しているアンドレアス・オバーグ氏は以前、韓国でのインタビュー(http://idology.kr/7772)でJ-POPとK-POPの違いについて訊かれた時、「フレージングの差が決定的だ。K-POPの場合は若干もっとリズミカルな音楽、より多くの16分音符が使われてシンコペーションが強く感じられる、つまり『ファンキーな』音楽がより好まれる傾向がある。(略)J-POPを聞いてみると、彼らはより平易で直線的なフレージングを好むことがわかる。ほとんどの伝統的なボーイバンドやアイドルの音楽がすべてそうだ」と話していた。「韓国語と日本語の違いがそのような音楽の違いや好みをつくっていると思うか?」という問いには「もちろんだ。韓国語の発音はシンコペーションが強い音楽、ファンクやヒップホップなどのブラックミュージックが更に自然に合うと思う」と答えている。

 ほとんどの音節が母音で終わる開音節である日本語と、日本語より多くの母音とパッチムを持ち、開音節と子音で終わる閉音節の両方を使う韓国語の違いを意識した結果、よりJ-POP的でメロディアスなボーカル主体の楽曲をあえて好んで制作しているとも考えられる。

 次に、アルバムの半分以上を占める「日本語バージョン」だが、韓国での活動曲である「IDOL」「Boy With Love」「Fake Love」「ON」以外の楽曲(「Airplane Pt.2」「Black Swan」「Make It Right」)の選択に関しては、先述のように「より日本語に合いやすい」楽曲を意識して選んだような印象がある。韓国アルバムではタイトル曲よりも激しいダンスパフォーマンスが印象的だった「Dionysus」に関しては、オリジナルの歌詞でもサビの部分で「飲め飲め」と繰り返すパートがあるが、日本語に訳される事でそのどこかユーモラスな部分がダイレクトに伝わる事で、韓国語が直接的にはわからないリスナーにとっては韓国語のバージョンとはまた異なる印象を与えるかもしれない。

 今回のアルバムに収録された13曲のうち新録のINTRO・OUTRO、シングルとしてリリース済み・アルバム用新曲の5曲以外の8曲は既存曲の「日本語バージョン」であるが、日本でのオリジナルアルバムでも毎回収録曲をサンプリングしたINTROとOUTROを収録しており、アルバムの基本的な構成も韓国アルバムと同じにしている。日本国内ツアー用のアルバム的な立ち位置だった「Wake Up」以外は花様年華シリーズに対しての「Youth」、Love Yourselfシリーズに対する「Face Yourself」そして今回のMap Of The Soulシリーズと、日本のアルバムも韓国アルバムの延長上にある作品であるという事を一貫して表現してきているようだ。

 このように日本のKPOP界隈ではお馴染みとなっている「日本オリジナル楽曲」「日本語バージョン」ではあるが、日本でも「BTSはビルボードチャートの1位をとるくらいアメリカでも人気がある」という認識が広まっている現在、「アメリカでは韓国語でパフォーマンスしている(英語の楽曲は出さない)のに、なぜ日本では日本語の楽曲・バージョンをパフォーマンスするのか」という疑問をもつ人もいるかもしれない。そこで、このアルバムを通して「日本語バージョン/日本オリジナル楽曲」というものの歴史的経緯と意味について振り返ってみたい。

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