「森のようちえん」自然派育児ママに、ネットワークビジネスが忍び寄る

文=山田ノジル
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GettyImagesより

 理念や取り組みそのものは素晴らしいにもかかわらず、一部が怪しげなスピリチュアルやマルチの魔窟となりつつある「森のようちえん」。前回の記事では、運営者や代表者たちにみられる発信の香ばしさや、内部事情に詳しい人物からの話をお届けしました。今回は、実際に森の幼稚園に子どもを通わせている保護者Kさんの体験談です。

 Kさんが、某市の森のようちえんに子どもを通わせているのは、森のようちえんと親和性の高いシュタイナー教育に共感しているからなのだとか。シュタイナー教育とはオーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーの思想がベースにある教育法。「小さいうちは勉強やテレビよりも体を動かす体験が重要」「その子らしくのびのびと自由に」というあたりが森のようちえんとフィットするのでしょうか。

デンマーク発の幼児教育「森のようちえん」は、スピ×自然派の魔窟なのか

 自然の中で幼児教育を行う「森のようちえん」。1950年代にデンマークで自主保育活動として始まったそれは1990年代からドイツ周辺へ派生し、現在日本でも…

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「森のようちえん」自然派育児ママに、ネットワークビジネスが忍び寄るの画像2 ウェジー 2020.07.14

 前回ご紹介した森のようちえんトピックスでは、有名園長が昨今すっかりスピ色の強まっている「胎内記憶」推しだったり、過激自然派で知られる詩人が運営に携わっている……等の現状をお伝えしましたが、Kさんの周りは幸い「そこまで極端な育児をしている人はいない」とのこと。しかしそれでも、順調(?)にトンデモ物件には遭遇しているよう。それは、料理に使ったり飲用したりする、ありえない利用法が問題視されているドテラ社のアロマオイル。園でドテラを使った「アロマ講座」が行われたというのです。

Kさん(以下K):園の主催者である保育士がこんなことを語ってました。「子どもにやさしい虫除けを探して受けたアロマの講座で、質や理念に賛同できたの!」と。それってもしかして……まさかね……と参加したら、案の定ドテラ。「私が会員価格で買ったら、森のようちえんで安く使えるよね」「無印のアロマはどれも似た価格帯。でも、ものによって値段が違うのが、本当の質を反映してると思うの。子どもに使うんだから、いいものじゃなくちゃ」。保育士は、きっと善意なんでしょうけど……。

 無印は手を出しやすい価格のものを中心に取り扱っているだけであって、ものによって値段が違うのはアロマ専門店では思いっきり普通のことです(売り手の都合もあるでしょうけど)。「価格が大きく違う」ことについてドテラが特別なわけではないのは、軽く検索するだけでもわかりそうなもの。販売トークを素直に受け入れてしまう保育士のピュアさがちょっと怖い。どこかで聞いた「森のようちえんは基本なんでも受け入れる」という言葉を思い出してしまいました。

K:ほかの参加者は「アロマ気になってたけど、面白い! また講座に参加したい! イライラに効くのはどれ?」と盛り上がっていましたね。私はドテラがネットワーク商法なのを知っていたので、サーッとひいた気持ちで眺めていました。アロマについての説明やパンフの価格についてはそれほど問題があるようにも思いませんでしたが、ネットワークビジネスだという説明はありませんでしたね。

 さらに園内の講座だけでなく、外部団体との合同イベントにも登場。出店として現れたのは、「ドテラのポップコーン屋」。ああ、虫除けスプレーくらいにしておけばよかったのに。しかも子どもに食べさせる……だと⁉

K:もちろん親子で食べるのが前提です。ポップコーンは無料で、ドリンクは有料でした。ポップコーンの味付けがアロマだという説明はありませんでした。感想は、塩気が足りない~くらいですかね。体調を崩したとかはありません。

 ほかにも「足によい靴体験」「しめ縄作り」「遊びの講師」などのイベントが度々あります。その延長で、「無添加で質のいいアロマ情報」として共有しあっているのかな……。ちなみに合同イベントの雰囲気は、いかにも自然派! な圧迫感がありました(苦笑)。

 基本、私が通っていた園はガチ自然派育児ではなくて、のびのびがいいな~くらいの方も多い。むしろ子どもの食事とか、もう少し気をつけたら? と思うくらいです。しかし、よかれと思って誰かが何かに傾倒すると、その集団ごと陥りそうな空気はたしかにあります。メンバーに、育児カルトについての知識を持っている人が多ければ大丈夫かなと思うのですが、けっこう知らない人が多いですしね。

富裕層の専業主婦家庭が狙われる!?

 別の方のコメント(Twitterのリプライ)ではこんな話も出てきています。

○森のようちえんにおける保育の在り方についての講演を聞いて感銘を受けたのに、その後(その人が)ドテラ活動を始めてしょぼーんだった

○森のようちえんに子どもを通わせている友人がHappyちゃん好きで、ド○ラを勧めてくる ※Happy=「引き寄せの法則」で成功したという設定のスピ商売ブロガー。

○スタッフにヤングリヴィング(ドテラ同様マルチ商法の会社で、会員にならないと購入できない)推しの人がいて、商品を勧められた

 森のようちえん、マルチに浸食されすぎじゃない? 基本、森のようちえん活動にじっくり取り組める家庭は、世帯収入が比較的高めである裕福層でしょう。

 一般的な枠組みから外れる保育であるため園に対しての補助金がおりにくく、かかる費用が高め。親の関わりが多い点からは、きっと専業主婦率も高い。そのあたりに、マルチ(ネットワークビジネス)やビジネススピに狙われる条件がそろっているのかもしれません。共感や絆を大切にする、熱くのめりこみやすい、規格外のものをありがたがる、選民意識……といったような要素がそろえば、きっとどんな集団でも要注意ですけど。

K:今の新型コロナ感染拡大騒ぎのなかでは「コロナで騒いでいる人にかぎって、食事はコンビニやファストフードなんて矛盾してるよね」「私は食事をきちんとして免疫つくっているから何もあわてない♡」といったことをタイムラインに載せていたり、内海医師※の書籍を紹介していたり。Facebookやインスタではそんな発信を見かけます。

(※自分のことを「キチガイ」と自称する内科医。反先進医療、反ワクチン運動を行っている。通称「うつみん」)

 森のようちえんに集う人々は自然に親しむ人たち……というよりは、もはや自然信仰? 新型コロナ騒ぎのなかにおいて「感染症に負けない体づくり」というコンテンツはもはや定番化してきていますが、このエピソードから「人として正しい私たち」という選民意識を感じてしまうのは、私がひねくれているせいなのか。

 新型コロナ×食事といえば、ダイヤモンドオンラインで自然派として知られる本間真二郎医師が、コロナから身を守るには「不自然なものをとらないように」なるアドバイスをしてましたね。食事は自然食材のもので、添加物や化学調味料などを使っていない、地産地消のものを摂取する。日本人なら日本の伝統食である和食を。余計な化学物質を使っていない、農薬や添加物が入っていない食事を積極的に摂りましょう……と。ツイッタランドではだいぶツッコミが入っていたようですが。

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