たかがマスク、されどマスク〜拒否派 vs. デザイン自己主張派

文=堂本かおる
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マスクを楽しむアメリカ

 決して高価なものではなく、いわばただの布切れだが、それで多くの命が救えるマスク。そのマスクを巡ってこれほどの大騒動となるアメリカ。国全体のメンタリティがどれほど不安定かを物語っている。

 その一方、「どうせ着けるなら楽しもう!」という人も多い。薄いブルーの医療用マスクが多い中、ユニークなデザインもよく見掛ける。

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 筆者が暮らすニューヨークの黒人地区ハーレムでは、アフリカ産の生地で作られたカラフルなもの、アニマル・プリント、グッチ、モスキーノ、シャネルなどのコピー・デザインが目を引く。ハーレムにはカリブ海諸島出身者も多く、ジャマイカ、トリニダード・トバゴなどの国旗をデザインしたマスクも見掛ける。黒人地区では見掛けないが、星条旗マスクの広告もよく見る。

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 インスタグラムにアップされている黒人デザイナーの作品を見ると、ゴージャスなドレスにマッチするスパンコール、果ては真珠をちりばめたものまである。今、ドレスを着て出掛ける場所があるのかは別として、デザインがどんどん先鋭化しており、見るだけで楽しい。

 そもそもアメリカにはTシャツ文化がある。本来は男性の下着だったものが1950年代あたりに若者のファッションとなった。当初は白無地だったが、様々な色や柄が生まれ、やがて社会的なメッセージすら描かれるようになった。1970年代なら「戦争反対」、今なら「Black Lives Matter」などだ。強い主張を持つ人々にとって、Tシャツは打って付けのメッセージボードとなったのだ。マスクも同様の経路をたどっている。

 今後、コロナ禍がどれほど続くのか、先は全く見えない。だが、マスクが日用品となった以上、マスク・デザインの進化は続くはずである。
(堂本かおる)

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