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エセスピリチュアルや疑似医学をベースにした科学的根拠のない健康法。そんな「トンデモ」の沼へ、家族がハマってしまった体験を語ってもらう「身内がトンデモになりまして」シリーズ。当連載では長年「子宮系女子」をウォッチングしてきていますが、今回は妻が子宮系にハマったという30代男性N氏の体験談です。
大好きだった姉が、子宮系を信じてまるで別人に。絶縁状態の結末
子宮系女子たちが長崎県の壱岐島へ集合しはじめていることに起因する出来事について。前回は謎物件ウォッチャー3名で、その問題についての雑感をあれこれとお届…
子宮系女子とは、当初「子宮の声に従って生きれば、健康も運もお金も愛情も手に入る!」と言わんばかりの教義を掲げ、セミナー活動や「女性性開花」を謡うアイテムやサービスを販売する女性たちのこと。
現在は、中心人物である元・子宮委員長はる氏(現在は八木さやと改名)により自己開示することで集客しようという「自分ビジネス」なるメソッドへ方向転換中ですが、「御まん託(性器の霊視)」「自分メディカル(Web講座のレビューは遠隔エステ!やら遠隔整体!やら謎の単語が飛び交ってます)」など、相変わらずの香ばしさは健在。
ウォッチャーのあいだでは、『子宮の詩が聴こえない』なる小説が大人気です。作者はサイゾーウーマンで「教祖様注意報」を連載中の黒猫ドラネコ氏。「子宮の唄」なるカルト教団にハマった妻を夫の視点から描くフィクションですが、それをN氏は「あまりにも身に覚えがありすぎて、つらくて読めない」と話します。
みるみるうちに子宮系に傾倒した妻
子宮系女子に感化されていたというNさんの妻は、現役看護師。Nさんとは同年代で、25歳で結婚。3人の子どもを育てる傍ら非常勤で働き、子どもたちに向けた性教育を行う活動をしていたそう。妻はもともとスピリチュアルカルチャーが大好物。ロミロミを習いにハワイへ行ったり、国内の瞑想合宿に遠征するなど、精力的に走り回っていたとか。
Nさん(以下N):数年前くらいからですかね。会話の中にそれまでは登場していなかった「はるちゃん」という名前が出てくるようになったのは。もちろん、「元・子宮委員長はる」のことです。妻はとりとめもなくこんなことを話していました。ブロガーのはるちゃんって子がね、元風俗嬢でね、稼いでいて、あり方が素晴らしくって……と。
そんなタイミングで、妻が出会ったのが「タントリックヒーリング」。仙骨と頭に手を置いて「気を回す」だけで、触れられている人がオーガズムに達するというふれこみの妙術(パフォーマンス?)です。私もYouTubeで見たことがありますが、暗がりで横になった女性が下腹部を波打たせて喘いでいるだけで、「催眠? なんだかよく分からない」という感想しか持てませんでした。
N:妻は市役所がバックアップするママたちのNPO活動で、地元の不妊治療院の院長と出会い、その謎ヒーリングについて教えてもらったと話していました。その院長は、オーガズムで子宮が収縮するので、不妊に効くと考えていたそうです。
院長は男性なので患者さんたちに施術できない。だから代わりに行ってくれる人を探しているという相談が回ってきて、手を挙げたのが妻。その勉強会のために子どもの世話をよろしく、と相談してきたのです。そのころはもうすっかり子宮教特有の言い回しが定着していて、私は私のために生きる! と主張していましたね。
この勉強会が運営されているのは、SNSを経由したネット上のグループ。そこではヒーラーになりたい人・施術を受けたいだけの人とグループ分けが行われ、後者の「ヒーラー希望」の場合、数万円の入会金を支払うのだそうです。
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