『私の家政夫ナギサさん』その結婚は、好きの搾取では? 最終回目前で波紋

文=ヒポポ照子
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『私の家政夫ナギサさん』公式webサイトより

 火曜22時のTBSドラマ『私の家政夫ナギサさん』が、最終回に向けていっそう盛り上がっている。8月25日放送の第8話は平均視聴率16.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、自己最高を更新。最終回は9月1日の放送予定だ。

 だが、第8話のラストが波紋を呼んでいる。優秀なMRだが家事全般が苦手な独身女性のメイ(多部未華子)が、優しきスーパー家政夫のナギサさん(大森南朋)に「お試し結婚」を提案したのだ。

 ドラマの簡単なあらすじはこうだ。職場では有能だが生活を整えることの苦手なメイは、ろくな食事も取らず汚部屋住まい。家事代行サービスで働く妹(趣里)はそんな姉を心配し、同じ家事代行サービスで働く“スーパー家政夫”のナギサさんをメイの家に派遣する。

 ナギサさんは荒れた部屋を片付け、洗濯物をたたみ、美味しい料理を作ってくれ、メイの相談にものってくれる。まるでお母さんのようだが、メイはその優しさと頼もしさに、ナギサさんはメイの一生懸命なほっとけなさに、徐々に心惹かれている様子だった。

 だがナギサさんはその能力の高さゆえに、本社への異動を求められ、メイの家での業務がもうできなくなる。「今日で最後なんです」と打ち明けるナギサさんに、メイは「じゃあ、私たち結婚しませんか」と唐突にプロポーズし、“お試し結婚生活”として同棲することにーー。

 ナギサさんと離れたくない。メイの気持ちは恋愛感情なのか? いや、プロポーズが必ずしも恋愛感情からくるものである必要はない。ナギサさんはメイが遅い時間に帰宅しても家で待っていてくれ、出来立てのあったかくて美味しいご飯をよそってくれて、洗濯物をたたみながら仕事の相談にものってくれる。けれど、その心地よさを手放したくないがために「結婚」を提案するというのは、どうなのだろう。

 本来、家事代行サービスの提供者が夜の22時過ぎまで依頼主の家であれこれすることなどなさそうだし(ナギサさんは他の家も複数掛け持ちしているだろう)、短い時間で手早く頼まれた掃除や料理の作り置きをして去るのが基本だろう。フィクションだから別に良いのかもしれないが、過剰にサービスしすぎだ。メイにとって都合が良すぎるのではないか。

 メイの母親が「ナギサさんでダメなのかしらね、メイの結婚相手」とつぶやいたり、メイの妹もナギサさんとメイをくっつけようとしたりしているが、これも「家事が全然できないメイ」のお世話係を求めているように見えてしまう。

 初回から、同枠で大ヒットしたドラマ『逃げるは恥だが役にたつ』と比較されることの多かった『私の家政夫ナギサさん』だが、今回のプロポーズは『逃げ恥』で森山みくり(新垣結衣)が、「それは好きの搾取です」とプロポーズを断ったことと対照的だった。意図的にそうしているのだろうか。SNSでも「逃げ恥を思い出した」「好きの搾取だよ、メイちゃん」と比べる声が多い。

 みくりは「偽装結婚」をし、有償の家政婦として同棲相手宅の家事を担っていた。結婚すればその家事を無償ですることになる。これは「好きの搾取」だといい、愛があれば無償ですることだとされてきた家事・育児・介護など家庭内の労働の価値を問い直した。メイの甘えをナギサさんはどう受け止めるのか、そして二人は「お試し婚」生活を経て、どう変わるのだろうか。

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