ナギサさんは「おじさんだから可愛い」わけじゃない!『わたナギ』おじさんブームに違和感

文=雪代すみれ
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『私の家政夫ナギサさん』公式webサイトより

 ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(通称:『わたナギ』/TBS系)のヒットを受けて、30日放送の『サンデージャポン』(同)では、街頭ですでに「わたナギロス」の声が出ていると紹介した。

 『私の家政夫ナギサさん』は、仕事は得意だけれども家事が苦手なアラサー独身女性の主人公・相原メイ(多部未華子)が、スーパー家政夫である鴫野ナギサ(大森南朋)に家事代行サービスを依頼し、家族ぐるみで信頼関係を築いていく話だ。

 ナギサさんは激しく散らかったメイの部屋を手際よく片付け、健康的でおいしい食事を作り、熱心に働くメイを優しく見守ってくれる。ナギサさんが酔いつぶれたメイに手を握られ戸惑う姿や、メイに突然ハグされびっくりしながらも照れる様子も描かれた。最終回で二人が恋愛感情込みのパートナーシップを結ぶのか、注目されている。

 さて、『サンジャポ』では、同ドラマの人気の理由を「おじキュン」と紹介。街頭では、<とにかくナギサさんが可愛いなって><ちょっと戸惑ったりしてるところが可愛いなって思います>との声もあり、ナギサさんの“可愛さ”も人気のポイントのようだ。

 この日は新型コロナで番組を欠席した司会の爆笑問題・田中裕二の代役をお笑いコンビ・ずんの飯尾和樹が務めたが、飯尾も『わたナギ』に出演している。ドラマでの飯尾の役柄を「可愛い」という視聴者もいるようで、<めっちゃ好きです 毎回ちょっとお菓子わたして来るところ 可愛いって思ってみてます>という街頭の女性の声も紹介された。ちなみに飯尾は現在51歳だ。

 ちょうど放送前日の29日に、歌手の西川貴教(49歳)が、23歳年下の一般女性との再婚を発表したこともあり、番組では<今かわいいおじさんの時代がきているんです>と解説。Twitterで「おじさんブーム」というワードがトレンド入りした。

 この「おじさんブーム」についてネット上では、好みの中年男性芸能人について語る盛り上がりを見せる一方、「ドラマの設定にときめいているだけ」「芸能人で綺麗にしているおじさんだからよく見えるだけ」「一般のおじさんが勘違いしてしまうので、こういう取り上げ方はよくない」と、あくまで芸能人やドラマの中に限った話だと冷静な意見も少なくない。

 なお、「可愛い」と言われた飯尾自身は<女性の器がでかくなったんでしょう こんなのが可愛いなんて 死んだおばあちゃんから言われて以来ですよ>と、舞い上がることなく冷静なコメントをしていた。

「おじさんだから」若い女性に人気という解釈は危険な側面も

 ナギサさんが視聴者から愛される理由は「おじさんだから」ではないだろう。年齢的には確かに「おじさん」なのだろうし、メイは当初、「おじさんを家に入れるなんて絶対イヤ!」と拒絶していた。しかしナギサさんは料理・洗濯・掃除を完璧にこなすうえ、温かい人柄でメイの(そして視聴者の)癒しになっていく。「こんなお母さんにお世話してもらえたらいいのに」という感じで、「おじさんだから素敵」なわけではない。

 またナギサさんも、ストーリーが進むにつれ、頑張り屋なメイのことを意識するようになっているものの、最初は依頼人であるメイのことを恋愛対象として見てはいない。メイが仕事に悩んだときには本気で心配し悩みを傾聴し、下心を見せない。実はメイと同じ職種でバリバリ働いていた過去があるが、仕事の悩みを相談されても「俺はこうだった」等といったマウントをとらない。ドラマを見ていれば、ナギサさんが「おじさんだから」視聴者に愛されているわけではなく、その誠実さや優しさ、“女性的”とされる部分の包容力が魅力的なのだとわかるはずだ。

 表面的な「ナギサさん人気」だけにフォーカスして、「おじさんブーム=中年男性全般が若い女性に人気」という安易な解釈は危険な側面もあると感じる。一般の中年男性が若い女性と自然に出会う多くのきっかけは仕事だろうが、年齢や社会的な立場など、自分が持っている権力に無自覚なままだと、「ただ好意を伝えただけ」のつもりが、セクハラになったり、相手を萎縮させる結果になる。「そんなつもりはなかったのに」「相手も好意があると思った」などと言っても、相手を傷つけてからでは遅い。それは男女が逆転しても同じことであり、女性上司から若い男性に対しても注意が必要だ。

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