HSCの感性を理解してくれる味方を探す
HSCの持つ繊細さは個性のようなものであって、発達障害や病気ではなく「治すもの」ではない。
だが、他の多くの子達と同じような学校生活が送りにくいと、クラスの中で浮いた存在になることもある。学校側が理解をしてくれず、病気ではないならどう接すればいいかわからないと言われるケースもよく聞く。
「私のところにもそういった悩みは多く寄せられます。残念ながら母親が相談すると、先生に『神経質なお母さんだ』という反応を取られることも少なくないようです。
でも本来、子どもたちはそれぞれに特性や個性があって当たり前で、学校の先生たちにはそれぞれのニーズを理解して対応してもらえるとありがたいですよね。親の伝え方というよりも、学校の懐の深さが問われているような気がします。
たとえHSCという言葉を知らなくても、生徒が困っていたら『どう接していくのがこの子にとっていいか』を親身に聞いてくれるのが先生というものです。
ただ、相性もありますから、もし担任とうまく話ができないなら、学年主任や、教頭・校長、養護教諭、スクールカウンセラーなど、学校内で理解してくれそうな先生を見つけてまずは相談してみてください。わかってくれる先生から、担任に話してもらうのも一つだと思います」
明橋先生は著書『HSCの子育てハッピーアドバイス』の最後に「学校の先生のために」という付録をつけ、HSCの特性や学校での関わりのヒントをまとめている。
「中には、親御さんがこの部分のコピーを学校に渡すと、校長先生が印刷して全職員に配ってくれた学校もありました。すると子供たちの不安を理解し、HSCの長所を認めて味方になってくれる先生が増え、学校全体の雰囲気が変わったそうです。HSCは決して『厄介な子』ではないんです」
筆者の小学3年生の娘も、大きな音や強い光、人が大勢いる場所が苦手なHSCで、集団生活をしいられる学校生活が苦手だ。だが一方で、周囲の人への思いやりが深く、直観力や理解力に優れ、四葉のクローバーを探させたら誰にも負けないという素敵な特技を持っている。
「ひといちばい敏感な子は、ひといちばい優しい子」だと明橋先生は言う。
親が自信を持ってわが子を大切にし、誇りに思って子育てを楽しむことが、HSCの子育てには一番大切なことかもしれない、と明橋先生の話を聞いて改めて感じた。
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