「女性が輝く社会づくり」の安倍政権は7年8カ月かけて女子教育問題を解決できたのか

文=畠山勝太
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安倍政権は理系女子の問題を解決できたのか?

 次に理工系の在籍データを見ましょう。同じく文部科学省の学校基本調査を見ると、この年の理学・工学における女子学生比率はそれぞれ、26.1%と11.7%でした。令和二年のデータはまだ公開されていないので令和元年のデータを見ると、この値はそれぞれ、27.9%と15.4%となっており、それぞれ1.8%ポイント、3.7%ポイント向上しています。

 これも同じく、歩みがどの程度なのか見るために、世界銀行のWorld Development Indicatorsを見ましょう。残念ながらこのデータに関してはカバレッジの問題でOECD諸国の平均値が出ていなかったので、最新のデータを並べてみることにします。

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 残念ながら理学・工学においても、データが報告されているOECD諸国の中で日本は最下位のままです。仮に他のOECD諸国がここから理系女子の育成に失敗して全く値を伸ばせなかったとしても、安倍政権の歩みのペースでは最下位を抜け出すのにすら10年はかかりますし、中位グループに追いつくのには30年はかかります。これを考えると、安倍政権の間に理系に進学する女子学生は増えたのですが、その歩みはあまりにも遅すぎて理系女子の問題を解決できたとは言えません。

安倍政権はトップスクールの女子学生比率の問題を解消できたのか?

 最後にトップスクールの在籍データを見ましょう。トップスクールをどのように定義するかはどうやっても議論を免れないので、特に強い理由も無く旧帝国大学のデータを出しておくので、異論がある方はご自身で調べてみて下さい。

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 安倍政権が成立した2012年は、大阪外国語大学を吸収して女子学生比率が大幅に高くなった大阪大学を除いて、東京大学で女子学生比率が20%すら超えていないのを筆頭に、全ての旧帝国大学で女子学生比率が1/3にも到達しない状況でした。

 そして、8年後の2020年にどうなったかというと、大きく女子学生比率を落としたところが無い一方で、女子学生比率が2%ポイント以上増加した所もありません。この結果、相変わらず東京大学で女子学生比率は20%を超えていないですし、大阪大学を除いて女子学生比率が1/3を超えたところも出てきていません。

 世界のトップ大学の多くが、学部による偏りが大きいものの、大学全体として女子学生比率を50%ぐらいに持っていっていることは以前お話しました。このペースでいくと、世界のトップスクールに追いつくためには30年程度はかかるわけで、この進捗の遅さではトップスクールの女子学生比率の問題を解決できたとは言えません。

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