
『これは経費で落ちません!』公式サイトより
主演ドラマ『私の家政夫ナギサさん』(TBS系)の好演で、女優としての株が急上昇した多部未華子。最終回の翌週には早くも2時間スペシャルを放送するなど、大ヒットドラマとなった『私の家政夫ナギサさん』だが、以前からドラマファンの間で多部未華子の演技は安定感抜群だと好評だった。
そんな多部未華子が主演を張り、昨年7〜9月に放送されたドラマ『これは経費で落ちません!』(NHK総合)の続編の制作が決まりかけていたが、10月からの撮影開始を目前に、中止になったという。理由は多部側が降板を申し出たためだ。
ドラマ『これは経費で落ちません!』は、「せっけんメーカー」の経理部で働く森若沙名子(多部未華子)と同僚たちの人間模様を描いたもので、原作はライト文芸。漫画化もされている。「NHKドラマ10」の枠では高い全話平均視聴率6.6%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)を獲得しており、最終回直後から続編を望む声が多く出ていた。
NHK側も続編制作に向けて動き、2021年4月からの放送を予定してプロジェクトを進行していたというが、「女性自身」2020年9月22日号(光文社)によると、せっけんメーカー同僚役のひとりのキャストの続投が難しくなったことで、多部の所属事務所から降板の申し入れがあったそうだ。また、多部側は続編の脚本にも納得がいかなかったという。
なお、降板となった同僚役のキャストは「存在感があるいい俳優」とのこと。『これは経費で落ちません!』のメーカ同僚役には、伊藤沙莉、吹越満、江口のりこ、平山浩行、ジャニーズWEST・重岡大毅など実力派・個性派の役者が多数出演していた。いずれも売れっ子であり、スケジュールの調整が難しかった可能性もあるし、所属する事務所側が「別の俳優を使ってほしい」と頼むこともよくある話だろう。
同誌はキャストひとりの変更くらいで降板するのは多部未華子の“わがまま”だと言いたげであり、その影響でNHKは大迷惑していると伝えている。
視聴者「キャストを変えた安易な続編は望んでいない」
しかし、そもそも多部未華子側は、作品の世界観を大切にするため、キャストの続投を続編制作の条件としていたようだ。「女性自身」の取材に対して多部の所属事務所は、<前作キャスト・スタッフの続投という当初のお約束がかなわなかったため、成立にいたりませんでした>と回答している。
ドラマファンもそんな多部側の意向を汲んでか、事務所判断を支持する人が多いようだ。SNSでは「多部ちゃんはまったく悪くない」「視聴者もキャストを変えた安易な続編は望んでいない」「急がなくていいからキャストはそのままでお願いしたい」といった意見が多くを占めている。
『これは経費で落ちません!』に限らず、メインキャストをひとりでも変更すれば世界観はガラリと変わる。それが吉と出ることもあるが、最初に築き上げた世界観を台無しにしてしまうこともなきにしもあらずだ。
人気を博したドラマでも、キャストを変えて続編を放送したところ「イメージが崩れた」とファンから強い反感を買う例も少なくない。第二シリーズを大好評放送中の『半沢直樹』(TBS系)も、新たな登場人物の投入こそあれ、メインキャストは続投だ。
『これは経費で落ちません!』の続編制作を望む声自体は多く、多部側も決して「絶対にやりたくない」という話ではないだろう。キャストを揃え、また脚本を修正するなどして、実現にこぎつけることができれば一番良いだろうが……。『わたナギ』を経た多部にはこれから新たなオファーが殺到するだろうことを考えると、再びスケジュールを抑えるのはなかなか難しいことなのかもしれない。