従業員への叱責を見せられて、気持ちよく飲み食いできるか
こうしたテレビ番組への出演は、企業にとってPRの意味合いを持つことがほとんどだが、このように炎上騒ぎを引き起こしてしまうこともある。
2019年12月に放送された『ガイアの夜明け』(テレビ東京系)では、従業員の長時間労働抑制に取り組む大手外食チェーン「大戸屋」を取り上げた。社長はなかなか労働時間を減らせない店舗の店長に「本気になってる? 目が死んでるんだけど」「この会社、生きていけなくなると思う、このままでは」 と声を荒げるシーンが映り、厳しい意見がSNS上に飛び交った。
『ガイアの夜明け』では2018年7月放送のデリバリーピザチェーン「ナポリの窯」特集も炎上。アルバイトが集まらず平日の昼間が調理から宅配までワンオペで対応する店長の懸命に働く姿に同情が集まったほか、人手不足に対応するため「“脱”宅配」を掲げる経営陣と現場の認識のズレに批判が集中した。
消費者がダイレクトに顧客となる飲食業界においては特に、こうしたテレビ番組は絶好のPRになる。だが当然のことだが、従業員への叱責を見せられて、気持ちよく飲み食いできる客はそう多くはない。
これまでの炎上案件からわかるのは、経営者側の厳しい指導を明かして企業努力のように主張したところで、消費者の支持を得ることはまずできないということだろう。
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