明石家さんまの「セクハラはコミュニケーション」論、未だ変わらず

文=宮西瀬名
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フジテレビ『さんタク』Instagramより

 9月16日に放送された『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ系)では、ハラスメント問題を各分野の専門家が解説したが、司会の明石家さんまの発言が物議を呼んでいる。

 番組ではハラスメントに関する研修を行っているというハラスメント評論家の倉本裕子氏が、在宅勤務中の従業員の部屋の様子を常に監視し、少しでも席を外したら「お前どこに行ってたんだ?」「サボってたんじゃないか?」と詰めてくる“リモハラ(リモートハラスメント)”が横行していると問題提起。パソコンにカメラのついていない従業員には、30〜40分ごとに1回、仕事をしている証拠として「パソコンの画像を撮影して送れ」と命じる職場もあるという。

 リモートセクハラもあるといい、リモート上での会議や打ち合わせなどで、相手の部屋や服装を言及されるケースを紹介。すると、明石家さんまは「それをコミュニケーションとして取らないんだ」「『今日はノースリーブですごいな~』とか……これもアカンのやろ?」と、何気ないコミュニケーションのつもりがハラスメント扱いされることに困惑を示す。

 倉本氏が「コミュニケーションと取れる内容と取れない内容があるんですよね」と応じると、さんまは「相手にもよるらしいね」「男のキャラも(影響している)」と、ハラスメントの曖昧な境界線に言及。セクハラする側のキャラクターによっては許されると言わんばかりの口ぶりだった。これはたとえば、「同じ言動でもイケメンなら許されるはずで、不公平だ」という思い込みにもつながるものだろう。

 また、ブラックマヨネーズの吉田敬が「(リモート会議している人に)『下、パンツ一枚ちゃいますの?』って言うのもセクハラですか?」と聞くと、倉本氏は「セクハラです」とキッパリ。それでも、さんまは「『スカート履いてないのとちゃうんか?』って言ったらアカンの?」と吉田と同様の質問を重ね、「アウトですよ」と倉本氏は呆れ顔を見せた。

 納得のいかない様子のさんまは、「『(スカートを)履いてるわよ』で成立するやないかい」「3日目にまだ履いてなかったらウケんねん」と冗談を重ねるのだが、場はしらける一方だ。

 さんまの発言に違和感を覚えた視聴者は多く、「普通にセクハラやしそれがコミュニケーションて本当に思ってるん…?」、「セクハラ発言をコミュニケーションだと何度も言ってた明石家さんま氏はもうどうしようもないんだろうなぁ」とSNSでは厳しいコメントが散見された。

 実のところ、「相手による」というのは、「関係性による」ということだ。両者に信頼関係があれば、プライベートの話題に踏み込んでもハラスメントにならないこともあるかもしれない。しかしハラスメントをして問題のないキャラクターなどは存在しない。「お笑い芸人だから」も「イケメンだから」も、ハラスメント行為の免罪符にはなりえないだろう。無論、明石家さんまという稀代のお笑いモンスターであっても、だ。

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