舞台俳優の「またオカマ役」コメントに非難殺到 「ゲイ」「トランスジェンダー」に差し替えも火に油

文=雪代すみれ
【この記事のキーワード】
舞台俳優の「またオカマ役」コメントに非難殺到 「ゲイ」「トランスジェンダー」に差し替えも火に油の画像1

『ハルシオン・デイズ2020』公式サイトより

 ある演劇の上演決定のお知らせが、ツイッターで大炎上している。

 9月14日、鴻上尚史氏がプロデュースするKOKAMI@network『ハルシオン・デイズ2020』の上演決定のリリースが『チケットぴあ』や『ステージナタリー』といった複数のメディアで配信された。物議を醸しているのは、『ミス・サイゴン』や『レ・ミゼラブル』など数々の舞台作品に出演し、シンガーソングライターとしても活動するミュージカル俳優・石井一孝氏の下記のコメントだ。

<「またきてしまったのか…ゲイの役が」。率直な第一印象である。『蜘蛛女のキス』というミュージカルでモリーナという愛深きゲイを演じたのは10年ほど前だったか。「女言葉と内股」という設定がなかなか馴染まず、当然稽古が嫌で、セリフを覚える気も起こらず毎晩ボーリング場に通った苦い思い出。しかし相手役や仲間に励まされ役を掴むようになると、女心がわからなかったはずの私が生き生きと女を生きられたのだ。今ではもうすぐに女になれる…気がしている(笑)。しかし鴻上さんとは初めまして。気を引き締めて挑みたい。もうボーリング場には通いたくないから。>

 「ゲイ」の部分は掲載メディアによって違いがあり、『ザテレビジョン』では、「オカマ役」と書かれていた。なお『SPICE』では、筆者が記事を閲覧した際には、石井氏のコメント自体掲載されていなかった。

 ツイッター上では「あるサイトではオカマからゲイに差し替えられたのを見たが、そこが問題の本質じゃない」「ゲイの役って言ってるのに“女を生きられた”とか、“女になれる”ってどういうこと?」「どうして関係者や事務所はこのコメントを通してしまったのか」など批判が集まり炎上。

 17日には『ハルシオン・デイズ2020』公式ツイッターにて、<公式ホームページにおけるコメントにつきまして、先に出した文章が、一部認識が浅く、間違った表現であった事をお詫び申し上げます。改めまして、文章を差し替えさせて頂きました。>と投稿があり、現在、石井一孝氏のコメントは上記のものから他のものへと差し替えられている。

差し替えればいいという問題ではない

 しかし、十分な説明のないままコメントを差し替えるという対応は火に油を注ぎ、「差し替えればいいってもんじゃない」「本人の認識が変わらなければ意味がない」「何がまずかったか説明がされていない」と炎上が収まるどころか激しさを増している。

 そもそも『蜘蛛女のキス』のモリーナは性自認が女性であるため、ゲイではなくトランスジェンダーである。10年前は今のようにLGBTの知識が広まっておらず、演者もゲイとトランスジェンダーの違いをよくわかっていなかったかもしれない。しかし、2020年に語るのならば言葉をアップデートさせる必要があるだろう。

1 2

「舞台俳優の「またオカマ役」コメントに非難殺到 「ゲイ」「トランスジェンダー」に差し替えも火に油」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。