私事で恐縮ですが、数年前に同僚から「ノート捨てる時どうしてる?」と訊かれて、うまく返事ができなかったことがありました。
使い終えたリングノートを捨てたいのだけど、会社のゴミ箱は分別しろと貼り紙がある、と言うのです。なるほど、一般的なリングノートは金属のワイヤーで綴られていますから、指示に従うためにはリング金具をノートから外さねばなりません。
わたしは使ったノートを基本的に捨てないので、自宅に記入済みノートがうなっているのですが、そういう人は少数派でしょう。たいていはノートを書き終えたら、その中味が本当に保管せねばならない唯一無二の重要記載でない限り、いつかは捨ててしまいますよね。
結局、同僚は分解治具がないまま、一生懸命リング金具を手で外していました。
その時思ったのです。リングノートって、そのまま捨てることができないんだ、と。逆に言えば、分別せずそのまま捨てることのできるリングノートがあれば、そこには大きなニーズがあるのではないか──。
同僚とその話をしてから一年ほど経って、わたしが思う製品が世に現れました。
今回ご紹介するナカバヤシの「ロジカルペーパーリング」ノートは、リングが紙でできています。分別不要のリングノートなのです。
ロジカルノートというブランドは2014年から始まった、付加価値罫線シリーズです。綺麗に見える書き方ができるように、横罫ノートに点線で縦罫を加え、また横罫の中に3分割の分割線を入れ、「文字の頭が揃う」「行間に空白を保持する」ことで学習効果を高める「ロジカル罫」を採用したことで人気となり、現在に至るまで無数のノートバリエーションを発売してきました。
過去、ロジカルノートシリーズも金属リングの製品はラインナップされています。見開きで使用する際、金属リングが手に当たって嫌だというユーザーのために、ロジカルノートのリングタイプは中央にリングがないセパレートリングデザインになっていました。
今回のロジカルペーパーリングもまた、この中央にリングがないセパレートリングデザインを踏襲しています。
サイズが豊富なのも、ロジカルシリーズの特徴です。
大きい順に、
A4ワイドサイズ(A罫/方眼)
A4サイズ(A罫/B罫)
B5ワイドサイズ(A罫/方眼)
B5サイズ(A罫/B罫)
A5ワイドサイズ(A罫/方眼)
A5サイズ(A罫/B罫)
スリムA5ワイドサイズ(A罫/方眼)
A6ワイドサイズ(A罫/方眼)
A6サイズ(A罫/B罫)
A7サイズ(A罫/B罫)
の合計10種類がラインアップされています。
ワイドサイズと記載されている製品は、その規格より大きな用紙が使用されています。例えばA4ワイドサイズなら、A4の用紙を貼っても余白があるサイズです。
A5だけは「スリムA5ワイド」というサイズが用意されています。これはA4用紙を3つ折りにしたものを貼って余白がある縦長サイズのものです。
ワイドサイズ用紙を使用しているノートには、A罫(7ミリ)と方眼罫(5ミリ)の二種類の罫があります。ワイドでない正寸の用紙を使用しているノートは、A罫(7ミリ)とB罫(6ミリ)の二種類の罫線が用意されています。
わたしはノートを書く際、行頭が綺麗に揃っていないと気持ちが悪いのですが、一般的なノートは罫線の開始位置──左端から書かないと行頭が整わず、ぎりぎりすぎて使い勝手が悪くなることがありました。ロジカルノートの横罫は前述の通り「ロジカル罫」を使用しており、点線による縦方向の線が印刷されています。これを目安に行頭を揃えることができ、またアウトラインプロセッサー的に行頭位置をずらして段々に書いていくときも、快適に使用することができます。
ノートの用紙を正寸より大きく取るのは、昨今の学校の教育方針で「プリントを配ってそれで授業を進め、使用したプリントはノートに貼って活用する」ことが増えてきたからです。ワイドサイズに5ミリ方眼があるのは、書いたときのことよりも、貼ったときのずれを解消するためなのかもしれません。これは社会人になっても、プリントアウトを貼る機会はけっこうあるので、歓迎すべきサイズですよね。
もともと中央にリングが配置されていないので、手が当たって不快になる可能性が低いデザインではありますが、紙製のリングは最初から扁平につぶれていて、しかも紙ですから柔軟性があり、金属製や硬質樹脂製のものに較べまったく苦になりません。リング自体を留めている部分がやや大きく出っ張っているため、最終ページに近づくと紙が浮いて段差が発生するのですが、それも罫線の外の部分のみで、筆記に大きな支障はありませんでした。
紙のリングが水や引っ張りに弱いのは、その通りだと思います。ただ、そもそもノートは濡らさないように使うものですし、乱暴にページを繰っても破れるのは用紙のほうです。一般的な筆記に使用するのであれば、リングが紙であったとしても大きな問題はないでしょう。
いずれにせよ、分別せずにそのまま廃棄できるメリットは大きいです。冒頭の同僚も、きっとこの製品には満足すると思います。みなさまもノートの廃棄で頭を悩ませた経験がおありでしたら、次回からはこのロジカル・ペーパーリングを試してみてください。
(他故壁氏)