芦田愛菜の思慮深さと表現力は、小学3年生当時から確かだった

文=中崎亜衣
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芦田愛菜 公式サイトより

 女優・芦田愛菜の成長ぶりが話題だ。

 2010年放送のテレビドラマ『Mother』(日本テレビ系)で、芦田愛菜は迫真の演技を披露し、天才子役と言われるようになった。当時、彼女はまだ5歳(!)、幼稚園の年中組だった。小学1年生という設定の役柄だったため、オーディションでは小学1〜3年生の子役たちがほとんどだったが、一番幼い芦田のたたずまいだけ「明らかに違っていた」と、のちに『Mother』脚本の坂元裕二が語っている。

 そして芦田愛菜は2011年4月にテレビドラマ『マルモのおきて』(フジテレビ系)で連続ドラマ初主演を務め、主題歌の「マル・マル・モリ・モリ!」も大ヒットした。

 中学受験に際しては芦田愛菜が学業面でもいかに優秀かを様々な媒体が報じた。そして最近では、10月9日に公開予定の主演映画『星の子』の完成報告イベントでの発言が評判となっている。

 「信じるとはどういうことか」と質問され、芦田はこのように述べた。

<『その人のことを信じようと思います』ってけっこう使うと思うんですけど、どういう意味なんだろうって考えたときに、“その人自身”を信じているのではなくて、自分が理想とする“その人の像”に期待してしまっていることなのかなと感じて。

 だからこそ人は『裏切られた』とか『期待してたのに』とか言うけれど、別にそれはその人が裏切ったとかいうわけではなくて、その人の見えなかった部分が見えただけであって。見えなかった部分が見えたときに、『それもその人なんだ』と受け止められる揺るがない自分がいるというのが、信じられることなのかなって思ったんですけど。

 でも揺るがない自分の軸を持つことってすごく難しい。だからこそ人は“信じる”って口に出して、不安な自分がいるからこそ、成功した自分や理想の人物像にすがりたいんじゃないかと思いました>

 その思慮深さや、考えを的確に表現する力に、「まだ16歳、高校一年生なのに」と驚く声が上がったが、それもやや失礼なことかもしれない。これまでも彼女は、自身が演じた役に真摯に向き合い、思慮を巡らせてきた。

 2014年に公開された主演映画『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』の、公開当時のインタビューもそうだ。この映画で芦田が演じた主人公・こっこは、温かい家庭で育ちながら「孤独」や「人と違うこと」に憧れる小学3年生の少女だった。撮影は2013年、芦田自身も小学3年生の時だった。公開当時のインタビューで芦田は「こっこ」について次のように語っている。

<“いまじん”する、人の気持ちを想像するっていうのは大切なんだと思いました。こっこちゃんは自分が思ったことを正直に言ってしまうだけで、困った子でも変わった子でもないと思います。大人のように当たり前に悩んだりするんですけれど、お友達の見えない心を一生懸命見ようとするこっこちゃんの優しさを感じていただけたらうれしいです>(「映画.com」より

<私も、決してこっこちゃんのように人と同じことが大嫌いというわけじゃないけど、人と違うことをしてみたいって気持ちは分からないでもないです。何にでも興味を持って、いつも疑問を抱いてるっていうことはいつも忘れないようにしました>(「cinemacafe.net」より

 昨年6月に公開された劇場アニメ『海獣の子供』でも、芦田は主人公・琉花の声優を務めた。琉花は運動は得意だが自分の気持ちを言葉で伝えるのが苦手な中学生の少女。自然や生命の謎に迫る哲学的要素を含んだ作品だが、芦田は複数の媒体のインタビューで、「感じ方は人それぞれ違っていい」「作品は『答え』を出せるものじゃないし、それでいいと思う」と考えを語っていた。

<やっぱり、明確な答えがあるものではないと感じています。映画を観て感じること、思うこと、皆さんそれぞれ違うと思うんです。でも、それは違っていいと思います。正解を求めるのではなく、その時に感じたり、思ったりしたことが大切だと思っています>(「シネマトゥデイ」より

<琉花は言葉では多くは語らないんですが、心ではいろいろなことを思っている子。自分の気持ちを誰かに分かってほしいのに、うまく言葉にして伝えることができない、もどかしい気持ちを抱えている女の子です。私自身もそういう気持ちはすごく共感できるなって思いました>

<自分の気持ちを正確に伝えるのってすごく難しいです。ポジティブなことは言えても、ネガティブなこと、たとえば悔しい気持ちを素直に“悔しい”と言えなかったり。自分に素直になれない、という表現が良いかもしれません。私自身にもそういう瞬間はあるので、琉花の気持ちはよく分かりましたね>(「TOKYO HEAD LINE」より

 芦田愛菜のコメントはいつも、洞察力に富んでいる。幼い頃からたくさんの本を読んできた読書家だというが、本から吸収したことを自らの体内で咀嚼し、自分のものにしているのだろう。だからフラットな視点で自分や他者、人間同士の関わりを見つめることができる。年齢には関係なく、彼女の姿勢から私たちが学べることはとても多い。

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