SEVENTEEN、BTS、BIGBANG…作詞作曲を手がけるK-POPアイドル、「自作ドル」の系譜

文=DJ泡沫
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 このBIGBANGの成功と人気を起点として、「作詞作曲するアイドル」のイメージ像が一般層にまで定着していく事になる。

 「アイドル」の流れとはまた別に、2000年代は韓国のメジャー音楽シーンでヒップホップミュージックの隆盛があり、EPIKHIGHやDynamic Duo、Leessang、Supreme Teamなどのヒップホップグループがお茶の間でも親しまれるようになった時代だ。

 両者の流れが合流した結果、2012年前後に「メンバーが自作するヒップホップ系アイドルグループ」が立て続けにデビューする現象が起こった。

 2011年デビューのBlock Bのリーダーであり、現在はソロアーティストとしての地位も確立しているZICOは、元々は韓国のヒップホップアーティスト・チョPDが「コリアン・エミネムプロジェクト」と銘打ったラッパーのオーディション経由でアイドルグループとしてデビューした。

 2012年デビューのB.A.Pのリーダーバン・ヨングクは、中学生の時にヒップホップユニットCrispi CrunchのCRPが主催したソウルコネクションにJepp Blackman名義で参加し、ラッパーのMasloとBlackoutというデュオを組んでいたこともある。

 2013年にデビューしたBTS(防弾少年団)は、当初からヒップホップ系アイドルを作るために韓国内オーディションなどで主要メンバー候補が集められた。最終的にグループの要となったリーダーのRMは、当時10代ながらすでにアンダーグラウンドでラッパーとして活動を始めていた。SUGAは地元の大邱で所属していたクルーではトラック制作を手掛けていた事もありオーディションを受けた当初はアイドルとしてデビューする事になると思っておらず、制作スタッフとして雇ってくれないかと掛け合った事もあるという。

 この時期にデビューした90年代以降生まれのラッパーポジションのメンバーは、子供時代にBIGBANGかEPIKHIGHのようなメジャーシーンのヒップホップグループの曲やパフォーマンスに接してラッパーを志したというケースが多い世代であり、元々多少なりと自作経験があったパターンも多い。

 事務所的にもヒップホップをやるのであれば「グループとしてのリアリティ」のためにメンバーが制作に直接関わる必要がある(最低限リリックは自分で書けるべき)という考えが一般的だったために、この時期に「自作ドル」が増える事は必然だったと言えるのではないだろうか。

 アイドル業界におけるこの「ヒップホップブーム」は、当時人気を集め始めたラッパーサバイバルプログラム『SHOW ME THE MONEY』(Mnet)シリーズの人気とともに最高潮に達し、後にiKONでデビューする事になるBOBBYがシーズン3(2014年)で優勝し、WINNERのMINOが準優勝したシーズン4(2015年)以降「若手ラッパーのアイドル化」ともいうべき新しい潮流とともに収縮していった。

 一時期境目が曖昧になっていた「アイドルグループのラッパー」と「アイドル的な人気があるラッパー」も再びはっきりと別の流れを持つようになって行ったが、シーズン5で優勝し今や人気ラッパーとなったBewhY(93年生まれ)がラッパーを目指したきっかけがBIGBANGだった事を考えると、本来はラッパーを目指していた若者たちが「音楽で食べていく」手段として当時はアイドルが最も近い道として存在しており、アイドルかラッパーかという道を分けたのは、スカウトやオーディションのような機会とほんの数年のキャリア形成の差に過ぎなかったのかもしれない。

 一方、「ヒップホップ系アイドル」の流行以外でもBIGBANGの登場による「自作ドル」の影響は広がっていった。

 この時期以降、自分のパートのリリックを自分で書く「ラップ担当」のアイドルメンバーは増えていった。

 2009年デビューのHIGHLIGHTや2011年デビューのB1A4などのように、活動と共にBIGBANGをロールモデルとしてメンバーが作詞作曲を学んで自作曲の割合が増えていったケースも珍しくなくなっていく。

 「メンバーの自作」には音楽的な真正性やスペックの一種としてのアピールポイントになるとともに、前述のようにファンには「自分のアイドルが自分に直にメッセージを語りかけてくれている」と信じられるような、共感と感情移入を強めてくれるブースターともなりうる。メンバーとファンの共感が最も重要視されがちな韓国のアイドルとしては良い点しかないわけで、以降クオリティさえ保証できれば作詞作曲できるメンバーを積極的に登用する、あるいは育成していくようになるという流れは必然と言えるのではないだろうか。

 また、以前はあまり一般的でなかった「グループに所属しながら同時にソロで音楽活動をする」というケースが韓国のアイドルでも一般的になっていった(これもやはりBIGBANGメンバーの成功例が大きいと思われる)中で、グループでは直接は出しにくい自分の好みやカラーを出していこうという自己表現の流れで作詞作曲に関わっていくようになったケースも増えていった。

 同様にヒップホップへの意欲がある「アイドルラッパー」達が、それぞれソロやミックステープをリリースする事も珍しくなくなっている。

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