上記の事務所の他にもバンド系アイドルだったFTISLANDやCNBLUE、ラップ担当メンバーが作曲するようになったVIXXやMONSTA Xなど、楽曲制作に関わっているアイドルは今や数えきれない。
韓国では「第4世代」と呼ばれる新人アイドルグループでも元々ヒップホップレーベルであるBRANDNEW MUSIC所属のAB6IXや、作詞作曲だけでなくMVまで自作した事で知られたVERIVERY(Jerryfishエンターテイメント所属)など、自主制作の範囲も広がってきている。
アイドル本人が自分のやりたい表現やメッセージを届ける手段のひとつとして「自作」を選ぶという事はとてもポジティブな事であるが、基本的に「アイドル」にとって自作のスキルは数多くある魅力やスペックのうちの一部分で、それのみがアイドルとしての人気や能力の優劣を決めるというものではないだろう。
日本でも今現在、ジャニーズ事務所所属のアイドルが作詞作曲にたずさわっているケースは実際は珍しくないが、日本ではジャンル的な分業が細かいためか、自作はあくまでもアイドルとしてやりたい事の表現方式か、ファンに直の言葉を伝えるという意味合いでのファンサービスの一環とみなされ、「アイドルである」という事のメインの冠とされるケースはあまりないように思う。
その点では、音楽やパフォーマンスを職業として志す若者たちにとって、現状メジャーデビュー出来る手段のほとんどが「アイドル」になってしまっているという、韓国の芸能・音楽業界の特殊さが反映されている部分でもあるのかもしれない。
(DJ泡沫)