菅政権に期待する財政出動 安倍政権の「介護政策」を振り返る

文=結城康博
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GettyImagesより

安倍政権を継承する菅内閣 

 約8年となる長期政権であった安倍内閣が終わり、菅内閣が後継という形で新政権がスタートした。厚労大臣も第二次安倍政権はじめに着任した田村氏が再登板と、ベテランを据え、新型コロナウイルス対策と共に介護政策を担うこととなった。

 特に、今年から来年にかけては21年介護報酬改定の議論が本格化し、プラス改定になるか否かが注目される。菅内閣における介護政策の真価がさっそく問われることになるだろう。

 そこで本稿では、安倍政権下での介護政策を振り返り、今後の課題と目指すべき介護政策のあり方を指摘したい。

民主党政権からの比較

 安倍政権の介護政策の評価のためには、まず民主党政権時(2009~2012年)と比較しなければならない。

 わかりやすい判断基準として、民主党政権時と安倍内閣の介護報酬改定を見てみよう(表1)。

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 民主党政権時の介護報酬改定は2012年改定の一回のみではあったが、マイナス0.8%と厳しい状況であった。前政権であった旧自民党の麻生内閣のプラス3%と比べても、かなりの差である。

 いっぽう安倍政権下では2015年介護報酬改定は厳しい結果としながらも(後述)、プラス改定も見受けられた。特に、今年のコロナ禍においては、介護職への慰労金一律1人5万円の給付といった財政出動もなされ、必ずしも給付抑制策一辺倒ではなかったといえよう。

 全般的な社会保障政策を見ても、民主党政権時は高齢者というよりも子育て施策に重点化されていた印象を受ける。しかも、(結果的に民主党政権時代に引き上げられることはなかったが)消費税を5%から10%に引き上げた際の財源使途が、かなりの部分が国債返還にあてられることが模索され、財政規律型の社会保障政策であった。

 しかし、安倍政権に移行して以降、これら財源使途は子育て施策に厚く配分されたとはいえ、国債償還にあてる割合が削減され社会保障の充実分に厚く配分されることになり、介護分野への財源措置も若干ではあるが増えた。

 その意味では、財政規律に配慮した民主党政権時と比べると、安倍政権は一定の社会保障給付を重視した社会保障政策であったと評価できる。

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