『グッとラック!』が体現した映画『キム・ジヨン』そのままの世界 「痴漢冤罪で男も大変」「受け取り方の問題」「家事やる男と結婚すればいいだけ」

文=雪代すみれ
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スタジオ男性陣の反応は「女性の生きづらさ」そのもの

 スタジオでは、コメンテーターとして出演するバイオリニストの木嶋真優氏がまず次のように話した。

<これだけ女性が生きづらさを感じているのも事実だと思うんですよ。私の場合は、会社に入っていないので、皆さんとどれだけ環境が違うかってところがあると思うんですけれど、例えばコンサートでも仕事を休まなくてはいけない、そこで穴を開けてしまう。でも男性の場合はそれをなしに、ずっとキャリアを積んでいける。そこでやはり女性は遅れもとりますし、そもそも優秀な女性でも上のポジションに道が閉ざされていますよね。私は音楽がなかったら、もっと生き辛い思いをしていたんだなと思います>

 同じくコメンテーターで作家・演出家の鴻上尚史氏は<ジェンダーギャップ指数っていう男女格差で、世界143カ国中、日本は121位で、韓国は108位なんですよ。女性が本当に辛い目にあっているのが続いているということですね>と、世界水準で比較しても日本や韓国に、女性の生きづらさがあることを説明。

 一方、コメンテーターとしてリモート出演する西村博之氏は「女の敵は女」論を繰り広げた。

<日本の場合って女性が女性の足を引っ張っているのが多い気がするんですよね。映画の中でもあったんですけれど、姑さんが女性の足を引っ張っちゃってるじゃないですか。男性は男性で男性の擁護をするんですけれども、女性が女性の擁護をしないので、さらに女性同士で働いてる女性と結婚してる専業主婦の女性とマウンティングの仕合とかして、味方をどんどん減らしている感じがするんですよね>

 また、上地雄輔氏のコメントは次のようなものであった。

<男の方が辛い、女の方が辛いってどっちもあると思うんですよね>

<変な話痴漢もそうだけれど、男性は男性で、例えば電車とかバスとかもそうだけど、つり革捕まえていないと痴漢と間違えられちゃう>

<お父さんが娘さんに言ってくれたことも、それは不注意だと言ってるかととるか、どういう風にしたら防げるかってことを教えてくれたって受け取り方にもよると思いますし、それをお父さんが娘のことを考えながら言ってくれたなら、また受け取り方も変わってくると思うので>

 痴漢被害に関しては木嶋氏も乗っかり、<スカート短いって(この映像は)暗いから見えないですけれども、実際に電車でほぼ本当にギリギリの子たくさんいますよね。短いものは短いので、それは教育をっていう本当にグレーかなって思います>と、痴漢被害とスカートの短さには関連があると考えているようだ。

 また西村氏からは<社会の問題っていうより、単に結婚相手の考え方の問題だと思うんですよね。例えば木嶋さんとか全然家事やらないけれど、全く問題ない家庭じゃないですか。そういう人を探して結婚すればいいわけで、ただ古くからの価値観を持っている人と結婚するとそういう事になっちゃうんですよね>と社会の問題ではなく個人の問題だとする発言もあった。これには鴻上氏が<結婚は相手の家庭と繋がるので、この場合、お母さんを捨てろというのを選べないわけだから><文化の問題なんですよ。個人の問題じゃないんですよ>と反論している。

 番組放送後、ツイッター上では「物語の趣旨を理解してからコメントしてほしい」「痴漢冤罪は痴漢がいなければ起きません」「露出が多いからって痴漢されても仕方ないわけじゃない」「小説で書かれている女性の生きづらさをスタジオで再生産してる」「なぜ男の生きづらさに論点をすり替えるのか」など批判が殺到している。

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