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9月16日に総理大臣に選出された菅義偉首相は20日に早速、米国のトランプ大統領に電話会談を申し込み、25分間話しました。そこでは、菅政権にとって日米関係維持こそが最重要課題であり、そのうえで開かれたインド太平洋構想を進め、コロナに対してはワクチン、治療薬について引き続き協力関係を維持したいとの姿勢を示しました。
ここには言外の意味が隠されています。このところの米中対立の中で、日本は中国よりもまず米国関係を最優先する姿勢を示し、その証左として、中国が進める「一帯一路」ではなく、日米が中国包囲の一環で進める「開かれたインド太平洋構想」の推進姿勢を表明したのです。
安倍政権に引き続き、日本は米国に最大限の敬意を示したことになります。米国が提示していた「踏み絵」、つまり日本は米国をとるのか中国をとるのか、の一つの答えでもあります。
米国は密かに日本の親中派をチェック
これには伏線がありました。ワシントンのシンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)が7月23日に「日本における中国の影響力」と題する調査報告書を発表していました。その報告書は安倍首相(当時)を媚中に向かわせている政界周辺の重要人物の名をあげ、批判しています。
それだけ日本が中国に近づくことを米国は警戒しているわけで、その大物親中派と名指しされたのが二階俊博幹事長、今井尚哉総理補佐官などです。このうち二階幹事長については、自分の故郷の動物園のために、中国から5頭のパンダを購入した親中派で、米国の意向を無視して中国の「一帯一路」に協力するよう提唱したと指摘。
さらに二階氏は習近平国家主席を国賓として日本に招くよう提言したとしています。そして彼はかねてより中国を発展途上国と見立てて積極的にODA(対外援助)を推し進めてきたとしています。これが中国を強くし、中国の影響力増大につながったとみています。
この報告書は日本が中国に近づかないようけん制するもので、名指しされた二階幹事長の尽力で「菅総裁」が誕生したともいえる中で、菅首相としては中国ではなく米国を最優先する姿勢を真っ先に伝えたかったと見られます。