菅政権が迫られる厳しい舵取り 複雑な要素が絡み合う米中対立、日本はどう動くか

文=斎藤満
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 米中関係を分かりにくくしている一つの要因がトランプ大統領と習近平国家主席の関係です。米中では通商問題のみならず、人権問題や中国の覇権拡大で激しく対立しています。しかしその一方で、トランプ大統領は、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席、日本の安倍首相、北朝鮮の金正恩委員長を個人的に「信頼できる友人」と呼んでいます。

 中国と関税戦争を展開する中でも、しばしば習近平国家主席を「信頼できる友人」と持ち上げていました。両者はいったいどういう関係なのでしょうか。恐らく、二人の利害が一致する面があるはずです。

 トランプ大統領は中国を相手に「新冷戦」を展開しようとしています。習近平国家主席がもつ「永久政権」の願望をかなえるべく、その点では米国も習近平体制維持に協力しようとしています。

 その一方でトランプ政権は中国の現政策を不公正で、米国の生産・雇用を奪っていると批判し、米国経済を脅かす中国の発展を煙たく思っています。経済的な拡大ばかりか、中国は米国などから盗んだ情報通信技術を進展させ、米国の国家安全保障を脅かすに至っている点も看過できなくなっています。そしてそれを駆使してスパイ活動までしていると非難しています。こうした中国がこれ以上力をつけないよう、抑え込む必要を感じています。

 一方の習近平国家主席は共産党幹部の子息で構成する太子党の出身で、上海閥ともいわれる江沢民派や李克強首相が属する北京の共産党青年団(共青団)の影響力を削ぎたいと思っています。特に、江沢民派が国有企業を中心に、中国経済の大きな部分を牛耳っていて、習近平路線を進めるうえで大きな壁になっています。しかも江沢民派は米国のネオコンや国際金融資本と手を組み、利権を集中させています。

 トランプ大統領はそもそもこの国際金融資本が形成してきた旧来の体制を打破するために大統領になったと言い、その勢力を「ディープ・ステート(影の政府)」と呼んで警戒しています。その彼らが中国の江沢民派とつながっているとすれば、これを叩くことが、トランプ政権にも習近平国家主席にも利益となります。ここに利害の一致が見られます。

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