
『モーニングショー』公式サイトより
10月9日の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)では、菅義偉首相肝入りの政策課題である「携帯料金の値下げ」について特集。スタジオでは携帯料金の値下げから国の安全保障問題にまで発展し、さまざまな意見が飛び交った。
菅首相は2年前の官房長官時代に携帯電話料金は4割程度下げる余地があると発言して以来、値下げに意欲を示し優先課題として取り組んでいる。
武田総務大臣は8日、携帯料金引き下げに向けて、主婦や高齢者など消費者代表から家計負担の現状や要望についてヒヤリングを行ない、これを踏まえた上で総務省は今月中にも具体的な方針を示すとの考えを発表した。すでに携帯電話の大手3社は政府の意向を受け入れ、値下げを前向きに検討するとしている。
『モーニングショー』では、親会社NTTがドコモを買収したことで、政府と地方公共団体が32.36%の株を保有、ドコモは筆頭株主である政府の意向を無視できなくなると解説。すると番組コメンテーターの玉川徹氏は、政府の方針は資本主義の原則を外れるのではないかと疑問を呈した。
<この圧力をかけて値下げをさせる、という政府のやり方はおかしいと思う。利益率が高いから安くしろと権力を持っている人が言うのは違うのではないか>
<他社が新しく参入しやすくなるように、競争条件などのルールを変えるのが本来ではないのか>
番組ではさらに、携帯電話事業に黒船が迫ってきているとして、アメリカの巨大IT企業Google(グーグル)、Apple(アップル)、Facebook(ファイスブック)、Amazon(アマゾン)の4社が通信事業に参入する動きがあることを紹介。NTTの澤田純社長も「本当の脅威はGAFA」だと発言しているという。
Amazonは宇宙に通信衛星を数千基打ち上げる計画があり、2029年までにはほぼ世界中を網羅する広範囲に高速インターネット回線を引くことができるようになる。番組MCの羽鳥アナも、そうなれば国内で携帯料金の値下げで争っている場合ではなくなり、日本の顧客は奪われてしまうのではないか、と懸念を示した。
すでにあらゆる日常生活に根差したインターネット。Amazonの計画が実現すれば携帯電話の顧客云々どころではなく、<これは国のインフラが握られる、という事態にならないか?>と玉川氏は驚き、ITジャーナリストの三上洋氏も<それは国の安全保障の観点からすれば大問題ですね>。日本だけでなく世界規模の問題に話は飛躍した。
ともあれ携帯電話大手3社の料金値下げは消費者視点では「大歓迎」なものだろう。一方で低価格を売りにしてきた楽天モバイルなどは苦境に立たされると見られている。