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聞き終えて、頭に浮かんだ単語は「暴れ馬」。育児中の母親たちを困惑させる「自然派(それも過激派)」のエピソードをうかがったときの話です。
身内が科学的根拠のない健康法やスピリチュアルにハマってしまった体験を語ってもらう「身内がトンデモになりまして」シリーズ。今回は、母親がマルチと新興宗教の影響で極端な自然派信者となり、このコロナ禍でさらにパワーアップして暴れまわるというエピソードです。
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専業主婦のUさんは、夫と子どもふたりと暮らす30代女性。小学生のころ、母親がマルチで有名なアムウェイのコミュニティから「自然派」へ傾倒していき、医療を毛嫌いするようになります。そして家族が治療を必要とする状態になっても、「薬は劇薬!」と頑なに医療を認めないのだとか。
Uさん(以下、U):私の母は基本、病院へ行きません。歯の詰め物がとれたときだけ、かろうじて歯医者へ行きましたが、そのときも麻酔を拒んだそうです。一番自然派にどっぷりつかっていたのは私が高校のときくらいでしたが、私が小学生のころ骨が見えるほどの怪我をしても病院へ連れて行ってもらえなかったことがあったので、そのころからハマりつつあったんでしょう。軽い認知症だった祖父母の薬も取り上げていました。
父は、母に家庭を任せ切りだったことを申し訳なく感じているようで、最初のころはマルチなどを辞めて欲しいと訴える私たち姉妹に「今は好きなことをやらせてやりたい」と話していました。ところがその間により深くハマっていき……。あっという間に、誰も止められない状態になりました。
妹は学生のとき、専門治療を必要とするかなり重い病気にかかりましたが、通院や投薬は断固禁止。起き上がるのもつらい状態の妹を、電車で片道1時間以上かかる、知人のよくわからないカウンセリングに半年以上も通わせてました。結局妹は病状が悪化して学校に通えなくなり、自力で高卒の資格を取得。その後、家族のしつこい説得で、妹が治療を受けることを母に認めさせるのですが、医療にかかると半年で元気になりましたね。それでも母は今でも「あれは小麦と薬剤によるアレルギーだ」と言い張っています。元気になってからの妹はパスタ屋で働き、毎日パスタ食べてましたけど。
たしかに小麦アレルギーではなさそうです。素人が自分の信条で他人の健康を測るなどあってはならないことですが、衣食住を握る親からそれをやられてしまうと、なすすべなし。このエピソードの他にも、Uさん母は暴走っぷりに枚挙にいとまがありません。
・Uさんも難病持ち。発作を抑える薬を飲むと「その薬のせいで治らないのに……」「副作用で悪くなる……」と延々と暴言を吐く。
・薬を拒否する代わりに「腹痛には温めたこんにゃくをあてる」「頭痛には白菜を頭へ乗せる」というケア法を推す。そして「薬はダメ絶対」だが、「サプリ」はOK。むしろどんどん飲めと推奨。
・飼い犬の狂犬病ワクチンも、孫(Uさんの子どもたち)の予防接種も、とことん反対。Uさんが隠れて病院で予防接種を受けさせるものの、知人を使って医者をさぐりワクチン接種したことをつきとめてくる。
・Uさんの長女&次女出産のときは「産婦人科で産んではいけない! 病院は危険だから家で産みなさい!」と、言い出す。「ちなみに私たち姉妹は、病院で生まれてます」(Uさん)
・孫への処方薬が見つかると「捨てろ」「劇薬だ」「頭がおかしくなる」「虐待」と大騒ぎする。
・現在別世帯であるUさん一家の食生活にも口を出し、総菜やレトルトを禁止する。Uさんは長女が4歳になるまで、布オムツやさらしのふんどしを使い、おやつは果物のケーキや、人参グラッセ、米粉クッキーやホットケーキなどを手作りしていた。「出汁はかつおぶしを削るところからです……」(Uさん)