薄っぺらい女優ヨイショは「女性の尊重」じゃない。セックスワーカーの権利や安全を守るということ

文=wezzy編集部
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澁谷果歩『AVについて女子が知っておくべきすべてのこと』

 性産業のなかにおいては、一般的な社会ではセクハラと認定されて当然なこともセクハラと見なされない傾向がありますよね。
 たとえば、風俗店の店長がお店で働く女の子に対して「太ったね」とか「もっと痩せた方がいい」と当たり前のように言う。こんな発言は一般企業ではあり得ないわけですよね。でも、セックスワーカーに対してはこういったセクハラが問題と見なされない現状があります。

澁谷 AV業界でもそういったセクハラはあります。マネージャーが担当する女優に「太ったら仕事なくなるよ」なんて言うことはしょっちゅうです。事務所からすれば「所属タレントの管理」であり、仕事の一環という認識なんでしょうけど。
 ただAV業界特有の問題としてそれ以上に気になったのが、AV撮影の現場での発言ですかね。たとえば、「言葉責め」の問題です。
 女優がマゾ女性の役を演じる作品では男優から言葉責めを受けることがありますが、AVの現場は映画やドラマとは違って台本がなく、アドリブのセリフが多いので、撮影の中で気分を害するような言葉を受けることもあります。
 私は胸がちょっと垂れているのがコンプレックスなので、「だらしない乳しやがって!」とか言われるのがすごい嫌でした。「だらしない乳」っていう表現は、おっぱいが垂れているところから来ているんだろうし。
 「これがマンガみたいにパツンとした張りのあるおっぱいだったらこんなこと言われないんだろうな……」って落ち込んでいました。
 でも、「だらしない乳しやがって!」と言った当人の方はナイスアドリブだと思ってるから、撮影の流れを壊さないように、気にならない振りをして受け流すしかない。
 AV女優は仕事をもらう立場なので「こういうこと言われるのは嫌だ」といったことを言えば「わがままな子だな」と思われてオファーが減るんじゃないかという恐怖もあるし、なかなか言い出しにくいんです。

 逆に、加害者になることもあるわけですよね。

澁谷 まさに。そういえば、一度セリフに関して意見を言ったことがありました。
 それは女優同士がキャットファイトする作品だったんですけど、罵声を飛ばしながらビンタするシーンでNGワードを出したんです。
 撮影前にそのシリーズの過去作を確認したら、「ブス」といった言葉で罵ることもあったようなので、監督に「『デブ』とか『ブス』とか、容姿に関することはあまり言いたくないです」と言ったんですね。
 自分のことならまだ我慢できるけれど、共演する女優さんの気分まで害したくはなかったので。

 澁谷さんが紹介してくれたような具体的な話を知ると、他のセックスワーカーたちも「嫌な時は『嫌だ』と言っていいんだ」という参考になるし、そういう事例をもっとみんなが示していくことが大事だと思う。

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