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茨城県の山奥にある東日本入国管理センター(牛久入管)での被収容者の数は今年4月30日法務省発表で224名だった。その後、予期せぬ新型コロナウィルスの影響により次々と解放されたが、10月現在でも約100名の被収容者がまだ残されている。
解放が増えるのは嬉しいことだが、もちろん全員が解放というわけではない。コロナ禍において、密集を避けられない入管施設内にいる人々の不安は計り知れない。
長期収容者ほど解放されない印象があり、最高で6年収容されている人もいる。そうした人たちの経歴に共通点はない。犯罪歴のある人もいれば、難民申請者もいたりと様々だ。だが、犯罪歴があったり難民申請していたりしても、解放されている人はいる。解放された人と解放されなかった人の違いはなにか? ここでは誰も教えてくれない。
「(解放が決まるのは)まるでくじ引きのようだ……」。現在ハンストをしている一人が面会室でそうつぶやいた。
一度解放されても2週間後には再収容
イラン人のマジットさんは10月6日からハンストを始めた。マジットさんはトータルすると3年8カ月の収容生活となる。あまりに長いと言っても言い過ぎではないだろう。
2019年春ごろ、解放を要求して始まった最初のハンスト参加者の1人がマジッドさんだった。それを見て同じようにハンストをする者が増え、当時は最大で100人以上がハンストに参加した。
ハンストをした人間は、仮放免を許可されてやっと外に出られても、わずか2週間で再収容された。再び自由のない収容生活に戻ることは耐えがたい恐怖で、中には逃げる者も現れた。しかし、隠れる場所などあるはずもなく、結局、警察や入管に捕まって連れ戻されるという悪循環だった。
マジッドさんも、解放されてから2週間で東京入管に出頭するように言われた。出頭すると捕まり、また何カ月かして2週間のみの仮放免をされる──これまで合計3回収容されている。
外に出られても、わずか2週間の猶予しかなく、心休まる人などいない。恐怖のあまり泣く者もいたし、不安で眠れないと言う人も多い。
マジッドさんは「外の空気を吸えることだけが唯一良かった」と語っている。
彼は2回とも逃げることなく収容された。入管の若い職員はマジッドさんに、「(解放しても2週間で連れ戻す)このやり方は変だと思う」と本音を漏らしていたという。
マジットさんは牛久に戻るたびにハンストを繰り返した。2019年12月、「ハンストを止めれば本当の仮放免を出すから」と忠告され、職員の言う事に従った。ところが、それから仮放免手続きが3回も不許可になった。もう10カ月も何も変化がない。
10月に不許可が出た際、「騙された」と感じ、再び抗議のハンストを開始した。面会室でその姿はすっかりやつれ果てて、見るのも痛々しい姿だった。
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