『梨泰院クラス』を生んだ韓国エンタメ業界構造の変化〜“ウェブトゥーン”原作の映画・ドラマが増えるワケ

文=くれい響
【この記事のキーワード】
『梨泰院クラス』を生んだ韓国エンタメ業界構造の変化〜ウェブトゥーン原作の映画・ドラマが増えるワケの画像1

左・『スタートアップ!』/右・『梨泰院クラス』

 『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)での好演を機に世界で注目され、ついには21年公開予定のマーベル・シネマティック・ユニバース最新作『エターナルズ(原題)』でハリウッド進出を果たす個性派俳優、マ・ドンソク。“マブリー(ドンソク+ラブリー)”の愛称が示すように、コワモテながらキュートな一面を持つ彼の主演最新作が『スタートアップ!』(19年)である。

 劇中ではおかっぱ頭の厨房長を演じるマブリーが、TWICEの楽曲「Knock Knock」に合わせて、奇妙なダンスをしたり、目を開けたまま眠ったり、子猫と戯れたりの強烈キャラで圧倒。さらに、『それだけが、僕の世界』(18年)でイ・ビョンホン相手に、天才的なピアノの腕を持つサバン症候群の弟を熱演したパク・ジョンミンと共演。ジョンミン演じる人生に迷える不良少年とのコミカルかつ、ハートウォーミングな掛け合いも見どころになっている。

 そんな本作の原作は『行け!稲中卓球部』(講談社)の古谷実から影響を受けた作画タッチも特徴的なチョ・グムサン原作のウェブ漫画「始動」。

 日本でもヒットした『猟奇的な彼女』(01年)はウェブ小説原作として注目されたが、近年の韓国エンタメ界は、“ウェブトゥーン(web+cartoon)”と呼ばれるウェブ漫画原作が急増。その映像化権を巡って、熾烈な争奪戦が繰り広げられている。

 10年代半ばから、急増し始めたウェブトゥーンの映像化。ウェブトゥーンの特徴としては、いわゆる趣味の延長、同人誌感覚で描き始めたクリエイターが多いことからか、テーマや作風がかなり自由なところにある。

 代表的なのが、韓国映画史上No.2の観客動員数(1400万人)のメガヒットを記録、シリーズ2作目(因と縁・18年)ではマブリーも出演したチュ・ホミン原作の『神と共に』。

 ほかにも、日本でも中島裕翔主演『HOPE〜期待ゼロの新入社員〜』(フジテレビ系)としてドラマ化されたユン・テホ原作の『ミセン−未生−』(14年)や、映画化もされたスンキ原作のラブコメ・ドラマ『チーズ・イン・ザ・トラップ』(16年)なども、ウェブトゥーン原作である。

1 2

「『梨泰院クラス』を生んだ韓国エンタメ業界構造の変化〜“ウェブトゥーン”原作の映画・ドラマが増えるワケ」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。