今では認知度も上がり、「消せるボールペン」と言えばフリクション! と即答できる方も増えてきましたよね。
この画期的な製品が生まれたのは2006年、フランスにて発売されたキャップ式のフリクションボールからその歴史が始まりました。
日本での発売は2007年から。そしてフリクションボールノックの発売が2010年、続いて多色タイプのフリクションボール3が2011年に発売され、フリクションボールは「カラーボールペンの線を書いて消せる」便利な筆記具として盤石の地位を築き上げたのです。
そんなフリクションボールですが、軸のカラーリングについてわたしには不満がありました。ラインナップに透明軸がないじゃないか、と。
クリアなボディは涼しげで、色がついていない分男女を問わず使用でき、そして何よりインクの減りを確認しやすい──メリットはたくさんあります。
ただ、フリクションボールのラインナップには透明軸はありませんでした。以前、スリムノック038の透明軸がプレゼントパックとして同梱されていた時期があり、わたしはそれを必死になって買い求めていました。この機会でないと、透明軸は手に入らない──そう思って。
実際に反響もあったのでしょう。パイロットは、2020年9月より定番品として、フリクションボールシリーズの一部に透明軸をラインナップしました。

フリクションボール2

フリクションボール3スリム

フリクションボール4

フリクションボールスリム038
グリップはラバーなので半透明ですが、ボディ、クリップ、頭冠とも透明樹脂となり、こするためのラバーはそれに合わせ半透明な乳白色になっています。ノックノブは白で、透明軸の中でリフィルの先端樹脂とノックノブだけが白く浮かび上がってきます。強度の問題なのでしょうか、フリクションボール4のみ内部機構も白い樹脂になっています。フリクションボール4だけ、ボディ中央に白いパーツが目立つ感じです。
フリクションボール3は、2018年10月にボディをスリム化したフリクションボール3スリムに変わっています。その際に軸径が最大12.8ミリにスリム化され、フリクションボール2の軸径12.2ミリに近づきました。こうして改めてフリクションボール2と3スリムを並べてみると、写真では差がわからないくらいですよね。
さすがにフリクションボール4は軸径が13.8ミリありますのでだいぶ太さが違いますが、13.8ミリと言えば初代ドクターグリップが「頸肩腕障害の予防にいい」と言って採用したあの太さと同一です。こんなところにも魂が残っているんですね。
単色のフリクションボールスリム038も透明軸になりましたが、こちらはかなりカラフルです。軸に乳白の部分はなく、はっきりとした透明軸です。内部機構(回転子)が白、消去用ラバーは半透明乳白で、後端部分にインク色と同じ半透明配色が成されています。これはレフィルの透け具合が多色のものと異なりはっきりと見えることと、カラーのラインナップが多いので統一感とわかりやすさを優先させた結果でしょう。黒インクの製品だけは、後端配色が透明です。
今回の透明化でいちばん面白いと感じたのは、2/3/4色軸のノブが白=無色化している点です。今までのボールペンはみな2色なら黒と赤、3色なら黒と赤と青──といったように、決められた色の芯が入っており、それが判りやすいようにノブもインクと同色になっていました。
それをすべて同じ白にしてきたということは、簡単に言えば「好きな色のリフィルを入れ換えてお楽しみください」ということですよね。これなら「わたしはフリクションの黒は嫌い」「もっとかわいい色で統一したい」「赤系だけで揃えたい」などといったニーズにも応えることができます。ボディが透明になりましたから、ノック時に動くリフィルも判りますし、どの色が出ているかも確認しやすくなりました。
黒や赤が透けているフリクションというだけでも珍しいのですが、これをオレンジやライトブルー、ライトグリーンなどに換えると、まったく異なった印象になって、見ているだけでも楽しくなります。
あと特筆すべきなのが、パック製品です。フリクションボール2/3スリム/4はパック製品を購入すると、替芯が4本収納できる収納ケースがついてきます(このおまけは期間限定のようです)。フリクション多色とスリム用のリフィルLFBTRFはインク容量が少なく、比較的簡単に尽きてしまうので、常に予備を持つことができると嬉しいですよね。
お手元のフリクションボール、だいぶくたびれてきてはいませんか。そろそろ買い換えを──と思う貴方に、透明軸のご使用をお勧めします。
(他故壁氏)