非正規労働者を使い捨てる企業の「やりたい放題」、どう食い止めるか

文=wezzy編集部
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Getty Imagesより

 2020年10月13日、正社員と非正社員との間の待遇格差をめぐって重要な最高裁判決が複数あった。

 ひとつ目は、東京メトロの子会社・メトロコマースの契約社員だった女性4人が、約10年働いたのにも関わらず退職金が出ないのは、正社員との不合理な労働条件の差を禁じた労働契約法20条(2018年6月より改正パートタイム労働法に統合)に反するとの訴えた裁判。

 もうひとつは、大阪医科薬科大学でアルバイトの秘書として働いた女性が、2年あまりフルタイムで働いたにも関わらず賞与が出ないことを労働契約法20条に反すると訴えた裁判である。

 日本社会の格差是正に向けての動きを大きく左右する裁判として注目されたが、結果は原告側の敗訴。最高裁はいずれも「不合理とまでは評価できない」として、退職金や賞与の支給を認めない判断をした。

 この結果は今後の日本社会にどのような影響をおよぼすのか。NPO法人・POSSE代表で、年間3000件以上の労働・生活相談に関わる今野晴貴氏に話を聞いた。

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今野晴貴
NPO法人・POSSE代表。ブラック企業対策プロジェクト共同代表。年間3000件余りの労働・生活相談に関わる。また、相談事例から日本の労働問題について調査・研究、政策提言を行っている。著書に『ストライキ2.0 ブラック企業と戦う武器』(集英社新書)、『ブラック企業』(文春新書)、『生活保護』(ちくま新書)、『ブラックバイト』(岩波新書)など多数。

日本郵便でも正社員と非正社員の「賞与格差」訴え退け

──今回の判決を受けて、まずどのように感じられましたか?

今野晴貴(以下、今野) 予想以上に格差是正に向けて踏み込まない判決だったと感じています。というのも、今回のコロナ禍によって非正規で働くことの厳しさを多くの人が認識したわけじゃないですか。だから、もっと非正規の人たちに寄り添った判決になると思っていたのですが、そうはならなかった。最高裁はむしろ経営者の方に寄り添った判決を出してしまいました。
 そもそも、賞与にせよ、退職金にせよ、基本給をもとに算出されるものです。非正規の人たちは基本給自体が高くないので、必然的に賞与・退職金も抑えられた額になります。それぐらいでは経営者側の懐もそこまで痛まないはず。にも関わらず、1円も出さないと結論づけたのは、格差是正に本気で取り組む気があるのか疑問を抱かずにいられません。

──最高裁は10月15日にも正社員と非正社員の待遇差に関する判決を出しています。
 日本郵便の契約社員が扶養手当、夏期・冬季休暇、年末年始勤務手当などをめぐって起こした裁判では、最高裁が手当支給や休暇付与を認めて原告側の勝訴となりました。

今野 日本郵便の判決などを受けて“格差是正へ一歩前身”と評価する声があるわけですが、ただ、扶養手当など日本郵便の最高裁判決で認められたものというのは、もうすでに多くの企業でも認められているもので、この判決は「当然」と言えると思います。
 報道では見落とされがちですが、実は、日本郵便の裁判でも正社員と非正社員の間の賞与の格差について争われています。しかし、こちらは東京高裁などですでに訴えが退けられている。最高裁で争われることすらありませんでした。
 ですので、これをもって「一歩前身」だとしても、高い評価を与えることができるものではありません。

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