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欧州でコロナ第二波が猛威を振るっているのに、日本国内では政府や組織委の「五輪は必ずやる」とのプロパガンダが一定の効果をあげているようだ。朝日新聞の最新の世論調査では、7月調査時に比べ、「来年に五輪開催を」という意見が8ポイント上昇し、約4割に達したと報じられた。大本営発表を信じやすい日本国民の特性がもろに出ているが、世界の最新状況は逆である。
10月に入り、フランス、イギリス、イタリア、ドイツ、ポーランドでは再び感染者が激増し、スペインは全土ロックダウンを開始した。フランスも10月29日から「少なくとも12月1日まで」のロックダウン措置を導入し、感染拡大を食い止めようとしている。こんな状況で五輪開催など出来るのか、と誰しも疑問に思うだろう。
そんな中、「やはり」と言わざるを得ない情報が入ってきた。電通や組織委の内部情報によると、10月20日の段階で日本政府、電通と組織委に対し、IOCから五輪中止の打診が入ったというのだ。IOCとしては、11月16日に予定されているバッハ会長と菅総理大臣との会談で正式伝達の予定であるという。
だが9月中は、バッハ会長やコーツ副会長は盛んに東京五輪の実施を吹聴していた。コロナがあっても五輪はやれる、というような楽観的見通しであり、それを受けて日本側の森組織委会長や菅首相も、五輪は必ずやるという発言を繰り返していた。それがなぜ急に変わったのか。
それは、欧州のコロナ感染者が、10月の第2週になってから爆発的に増え始めたからだ。その増加は凄まじく、前述したとおり、主要国のほとんどで外出禁止令やロックダウンが実施され始めた。
第一波の感染爆発の際に優等生であったドイツも例外ではなく、なんとコロナ対策の司令塔である保健相までもが感染してしまった。IOCの本部はスイスのジュネーブにあり、IOC幹部はコロナの猛威を目の当たりに見て、認識を改めざるを得なかったに違いない。
昨年、夏の東京と似た気象条件のドバイでマラソン大会を実施し、その惨状を見て急遽マラソン開催地を札幌に変更した判断の速さを思い出せば、今回のIOCの態度変更も納得できる。
10月21日に私がこの情報をツイートし、YouTubeチャンネルで発表すると、予想以上の拡散を見せた。日刊ゲンダイはすぐに私に取材し、五輪中止の見通しと2032年への再度の立候補という仰天プランもすっぱ抜いて、さらに話題を集めた。