「Go To」終了後の反落に懸念、国民任せコロナ対策では経済が破綻する

文=斎藤満
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Getty Imagesより

 欧米で再び新型コロナが猛威を振るい、独仏は10月28日、約1カ月のロックダウン(都市封鎖)を決めました。その中で日本政府は経済と感染防止の両立を図ると言いますが、日本政府はワクチンや特効薬の開発に消極的で、外国頼みとなっています。感染の抑制は国民頼み、神頼みの状態。その一方で海外からの入国制限を緩和したり、経済復興の建前のもと、人の動きを高めて感染リスクを高めることを推進しています。

 その結果、全国にまた感染が拡大しつつあります。「両立」どころかバランスが悪化している中でも、政府は「Go To トラベル」に続いて「Go To イート」キャンペーンを打ち、コロナで打撃を受けた観光、交通、宿泊、飲食業の支援強化に出ています。「他人の金」で安く旅行や会食ができると思ってか人が動きました。

 おかげで、観光地に客が戻り、鎌倉など一部の観光地ではコロナ前よりも人出が多くなったと言います。航空機も国内線に客が戻りはじめ、新幹線、高級ホテル、飲食店も一息つけるようになりました。

緊張の緩みと感染再拡大

 人が動くとやはり感染は拡大します。「Go To」の副産物か、これまであまり感染者が出なかった地方にも感染者が出るようになり、今では全国ペースで感染が拡大しています。それでも政府からは特段の感染対策は出ず、国民任せが続いています。その国民の間にも「自粛疲れ」か、このところ気の緩みともいえる状況が目立つようになりました。

 首都圏の電車がまた混み始め、「十分な距離」はとても取れない中で、友達同士で大きな声でしゃべり続ける人も少なくありません。車内放送で「なるべくマスクを着用し、おしゃべりは控えめにお願いします」と流れていても、それが耳に入らないようです。またマスクをしない人も多く見かけるようになりました。ひところ、スーパーのレジ前には足跡マークがついて距離をとって並ぶように案内があり、入店の人数制限を設けている店もありましたが、これも緩んできました。

キャンペーンの副作用

 キャンペーンは観光地に潤いをもたらした半面、新たな「格差」を生みました。スマホのアプリを活用して安く旅行、会食を楽しむ若手グループと、感染リスクを恐れて旅行にも会食にも出られない人、コロナで職を失い日々の生活に汲々としていて、旅行どころでない人などとの格差が大きくなっています。利用できない人にも税負担はいずれ同じように回ってきます。

 キャンペーンでは「割安感」「お得感」の大きい高級ホテルに人気が集まる一方、もともと低価格のビジネスホテルなどは恩恵を受けられないと言います。また「Go To イート」では鳥貴族詐欺など、制度を悪用するケースも多く報じられ、制度の欠陥も指摘されました。

 キャンペーンはいつか終わりが来ます。今はキャンペーンで安く行けるのでコロナリスクがあっても出かける人が多いのですが、キャンペーンが終わって「正規料金」となったときに、客が反落する懸念もあります。補助金は一度始めるとなかなかやめられませんが、「Go To」キャンペーンも永遠に続けるわけにはいきません。終了時の影響も考えておく必要があります。

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