アメリカのマルチ系アロマ業界に、金のニオイ&自己顕示欲が充満している

文=山田ノジル
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『ウェルネス/アンウェルネス -その真偽を問う-』より

 ついにNetflixに手を出してしまいました。詰ん読(&動画)で山脈が発生しそうな状況なのに、これ以上どうすんだ! と常々思っていたのですが、どうにもこうにもこの番組だけは見たすぎる。

 それは、『ウェルネス/アンウェルネス -その真偽を問う-』です。「健康と癒しを売りに巨利を追求するウェルネス産業の核心に迫るドキュメンタリー」ですってよ、奥さま方。

浴びるようにアロマを使いまくる

 現在配信されているシーズン1は全6回で、精油、タントラ、母乳で筋肉づくり、断食、アヤワスカ(幻覚剤)、ミツバチ療法が取り上げられています。全方向にざわつくラインナップ! ぜひ当連載でも、レビュー&感想戦に参加させていただきたい~。配信順にならい、まずは「精油」回からいっときます。

 精油(いわゆるアロマ)といってもいろいろありますが、番組でスポットを当てていたのはマルチ商法で販売される、アメリカの2大勢力「ドテラ」と「ヤングリヴィング」※。今、日本にも入り込んできている、ヤバ系アロマのど定番ですね。

※ドテラは、ヤングリヴィング内で仲間割れが発生したことにより設立された会社。ヤングリヴィングはドテラが企業秘密を盗んだと提訴した(後に泥仕合となり取り下げている)。

 病院や障害児のケアなど、アロマが真っ当に活用されているような現場も取り上げつつ、マルチでガンガン売りまくり高収入を得ている人や、ブログと動画配信で人気を集めアロマ講座を販売する夫婦、そういった人に指導された使用法で健康被害が出た人、大量の商品を買わせられた人、トラブルに対応する弁護士、批判する記者……などが次々と登場。今こんなことになってまっせ! という生の声を、サクッとまとめた印象。日本でもマルチ系アロマにちょっと詳しい人なら、だいたい知っているような感じの内容です。

 しかし改めて目にしてそれなりの衝撃を受けるのは、布教者たちが発信する“浴びるようにアロマを使いまくる”ライフスタイル。

 夫婦で精油情報サイトを運営しているカイロプラクター(カイロプラクティックの施術者)は、庭で遊ぶ子どもたちにブシャブシャとアロマスプレーをふりかけ(子どもたち、イヤそうな顔してるう)、空気中に拡散させるアロマディフィーザーはもちろん設置。さらには3歳の末っ子に精油入りドリンクを飲ませ、「料理に使うこともできる」「服用は危険という意見に反対、アイスやソーダの香りはほとんど精油!」と力説。いやいや、原料は同じでも濃度とかが全然違うでしょうに……。添加物をディスる人たちと同様、どうしてこの手の人たちって量の概念がないんでしょう。ちなみにこの夫婦、アロマの通信教育や書籍の販売で、7桁ドル稼いでいるそうです。

 番組内で専門家が「芳香の生活様式には問題がある。彼らは洗濯用洗剤にも料理にも空気にも使っている。大量に摂取して安全と言う証拠がない」としっかりツッコんでいるとおり、ここ、見ていて本当にゾワゾワくる。先日たまたま目にした国内の助産院のHPでも、こんなドテラアロマ愛用者の声が載せられていました。

 「子どもの擦り傷に直接たらすと治りが早い」「毎朝欠かさず、水にたらして飲んでいる。子どものおしりふきにもたらす」「保育園に行くとき、免疫強化のために足裏に塗る」。日本にもバッチリ「芳香の生活様式」が入り込んでいるのです。怖。

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