
TWICE公式Twitterより
K-POPシーンを代表する人気ガールズグループ・TWICEが2020年10月26日、韓国で2枚目のフルアルバム『Eyes wide open』をリリースした。「意表を突く」とはまさに本作のためにある表現だろう。今回採用されたコンセプトは“ニュートロ”。これは新しさ(New)とレトロ(Retro)を合わせた造語であり、最近の韓国カルチャーを語る上で欠かせない視点のひとつだ。
本作の収録曲も最先端のダンスポップから少し距離を置いた、シックでセンスのいいサウンドばかりであり、今までのTWICEが届けてきたものとはひと味もふた味も違い新鮮に響く。
とはいえ、音のスタイルを更新しても、自分たちが今考えていることをストレートに伝えたいという姿勢は少しも変わっていないようだ。新作『Eyes wide open』のリードトラック「I CAN’T STOP ME」は、ヒューマン・リーグやペット・ショップ・ボーイズといったグループをお手本にしたと思しき80年代シンセポップだが、歌詞は<毎分、毎秒、私の心が私の心を追い抜くの>、<私の中に私がもうひとりいるみたい>といったふうに、自分をコントロールできない苛立ちや悩みをつづっており、なかなかに興味深い。
「I CAN’T STOP ME」の歌詞は、TWICEの所属事務所・JYPエンターテインメントの中心人物であるJ.Y. Parkと、数々のヒット曲を生み出してきた女性作家として知られるシム・ウンジの共作だ。TWICEがパーソナルな面を楽曲に取り込むようになったのは、「Feel Special」(2019年9月)が最初だろうか。この曲もJ.Y. Parkが歌詞を書いており、彼がメンバーらと食事したときに話題になった「人気にともなうプレッシャー」を題材にしているという。
中でもサビの<世の中がどんなに私を落ち込ませても/つらくて痛い言葉が私を刺しても/君がいるから私はまた笑うよ>という歌詞が印象に残るが、そこまで自分を奮い立たせないとトップに立ち続けることはむずかしいのかもしれない。ナヨンはこの件に関して以下のように答えている。
<たくさんのファンから多くの愛をもらっているので、その期待に応えなければいけない。このことが時々メンバーのプレッシャーにもなってしまうんです>(アメリカの雑誌「TIME」の2019年10月9日付の記事より)