カマラ・ハリスは、女性で人種ミックスだから初の女性副大統領になれたのか?

文=堂本かおる
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 ジョー・バイデンがアメリカ合衆国第46代大統領に、カマラ・ハリスが同副大統領に決まった。投票日から結果が出るまでの、呼吸をするのもはばかられるような緊張感に満ちた4日間を経ての11月7日、二人はバイデンの地元デラウェア州にて受諾演説を行った。オフホワイトのスーツに身を包み、バイデンに先駆けてステージに登場したハリスは演説の中でこう語った。

「私はホワイトハウス入りする初の女性ですが、最後の女性にはなりません」
「なぜなら今夜、これを見ているすべての幼い少女たちが、この国は可能性の国であると知ったからです」

 まさに感動の瞬間だった。

 本稿では、あらゆる意味で米国史上稀にみる選挙となった今回の大統領選でのマイノリティと女性の進出、その背景、今後の課題について報告する。

副大統領カマラ・ハリス

 今回の大統領選、トランプに対抗する民主党からは大量の出馬者が出た。その中には女性6人、人種民族マイノリティ5人、宗教マイノリティ(非キリスト教徒)3人、オープンリー・ゲイ1人が含まれていた。

 バラク・オバマに続くマイノリティ、もしくは女性大統領候補の誕生が期待されたが、最終的に「白人・男性・キリスト教徒(*)・異性愛者」と、過去の大統領の踏襲となるバイデンが選ばれた。だが、当初からバイデンは副大統領候補に女性、おそらく人種マイノリティの女性を選ぶとされていた。マイノリティ排斥を進めるトランプ政権に挑戦し、かつBLM旋風が吹き荒れる中、正副大統領を白人男性コンビとするわけにはいかなかったのだ。

 副大統領候補者として多くの黒人女性政治家の名が上がり、その中からカマラ・ハリスに白羽の矢が立った。ハリスは母親がインドからの移民、父親がジャマイカからの移民であり、女性・黒人・アジア系・人種ミックス・移民の子など複数のアイデンティティを併せ持つ。

 また、バイデンは来年1月20日の大統領就任式の時点で78歳と史上最高齢の大統領となることから、56歳と若く、かつ人柄も陽気で華やかさのあるハリスが適任とされたものと思われる。

 もっとも、こうした様々な属性以前にハリスはサンフランシスコ地方検事、カリフォルニア州司法長官を経てカリフォルニア州選出の上院議員となっており、副大統領の地位にふさわしい経歴を備えていることは言うまでもない。副大統領とは、何らかの理由で大統領が任務遂行不可能となった場合に大統領職に繰り上がる地位なのである。

(*歴代大統領は全員がキリスト教徒だが、カトリックはジョン・F・ケネディのみ。バイデンは史上2人目のカトリック教徒の大統領となる)

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