カマラ・ハリスは、女性で人種ミックスだから初の女性副大統領になれたのか?

文=堂本かおる
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女性とマイノリティ~政界キープレイヤー

 近年の大統領選は良くも悪くもSNSに左右される。事実と虚偽、玉石混交の情報が大量に出回り、米国民はおろか、世界中がそれらに振り回される。しかし、時には事実を巧みなユーモアでまぶした「傑作」も誕生する。

 今回の大統領選は郵便投票が争点となった。民主党はコロナ感染を避けるために郵便投票を押し進めたが、トランプは「郵便投票は不正を招く」として投票所に出向いての投票を強く訴えていた。

 開票作業が開始された当初は投票所での票が先に数えられ、トランプ有利の数値が出た。やがて郵便投票分のカウントが始まり、バイデンが着々と追い上げた。その時点でトランプは「カウントを止めろ!」と叫び始めた。その際のトランプのツイートの多くが、ツイッター米国本社の基準に反するとして警告メッセージが貼り付けられることとなった。

 これらを受けて「Mail-in Ballots」(郵便投票用紙)をすべて数えろと訴える大作パロディ映像が作られた。大ヒット映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』の登場人物の顔を、バイデン/トランプを始めとする実在の政治家の顔に貼り替えたものだ。郵便投票のカウントを止めようとするトランプに対し、「数えろ」と求めるバイデン。そのバイデンに多数の味方が駆け付けるが、女性やマイノリティの多さに驚かされる。

https://twitter.com/JohnHPiette/status/1324751170511032322

 まずはオバマが昇る太陽を背にやってくるが、注目すべきはオバマを守るジョージア州の2人の女性政治家だ。どちらもハリスと共に副大統領候補として名前が挙がった人物だ。

 向かって左はステイシー・エイブラムス。2年前の中間選挙でのジョージア州知事選に接戦の末に落選した民主党の政治家である。エイブラムスを破った共和党のケンプは当時、同州の選挙管理を行う立場にあり、利害の衝突が批判されたことは記憶に新しい。今回の大統領選ではエイブラムスが組織した選挙登録運動が大きく功を奏し、膨大な数の新規投票者があった。ジョージア州は最後までもつれた激戦州の一つであり、エイブラムスの尽力がなければ選挙の結果が変わっていた可能性もある。

 向かって右はジョージア州アトランタ市長のキーシャ・ランス・ボトムス。エイブラムスを破った同州知事ケンプの意向に逆らってコロナ禍のロックダウンを敢行し、以後も力強い発言を続けている。

 ここでハリスが空を舞う。

 続いて民主党から大統領選に出馬した政治家たちが軍団となって現れる。バーニー・サンダース、コーリー・ブッカー、エリザベス・ウォーレン、ベト・オルーク、ピート・ブテジェッジ。いずれもバイデン応援に参加し、中でもブテジェッジは応援演説のシャープさで再び注目を浴びており、バイデン内閣への参入が噂されている。

 次に中間選挙で一大旋風を巻き起こしたアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員と、その仲間で「スクワッド(隊)」と呼ばれるアヤナ・プレスリー、ラシダ・トライブ、イルハン・オマー下院議員。

 そこへ過去4年間、トランプや共和党リーダーと激しく戦い続けたナンシー・ペロシ下院議長と、元ファースト・レディとしてバイデン応援を行なったミシェル・オバマが加わる。背後には白馬にまたがったヒラリー・クリントン。

 次に、やはり今回の大統領選に出馬し、ベーシック・インカムを公約に大健闘したアンドリュー・ヤン。今回、大統領選だけでなく上院選も拮抗しており、ジョージア州の2議席は1月の決勝戦への持ち越しとなった。この2議席を失うと民主党は少数派となるため、ニューヨーク在住のヤンは決勝戦支援のためにジョージア州に家族で引っ越すと発表した。

 ヤンの次にアップで映るのが、ミシガン州知事のグレッチェン・ウィトマー。トランプは自身の支持者に同州のロックダウン阻止行動をそそのかすツイートを行なったが、ウィトマーは毅然としてロックダウンを押し通した。その結果、州議会場に銃を持った反対派が押し寄せ、果ては極右グループがウィトマーの誘拐計画を企てたかどで逮捕される事件も起きている。トランプによって文字通り、命を危機に晒されたのだった。ウィトマーもやはり副大統領候補のリストに上がっていた。

 最後は偉業を成した故人たちが断崖を突き破って現れる。公民権運動、黒人の選挙権のために生涯を賭けて戦い、今年亡くなったジョン・ルイス下院議員。女性の権利のために尽くし、やはり今年9月に他界したばかりのルース・ベイダー・ギンズバーグ最高裁判事。2008年の大統領選でオバマと戦ったジョン・マケイン上院議員は選挙中も、敗れた後も、トランプとは全く異なる高潔さを見せた人物だった。

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