
エイベックス広報担当Twitterより
エイベックスが窮地に立たされている。11月5日に発表した2020年9月中間連結決算は、最終利益が32億円の赤字となった。前年同期は17億円の赤字であり、2倍近く膨れ上がった。新型コロナウイルスの影響でライブやイベントの開催を自粛したことが原因だという。
これにともないエイベックスは音楽事業に関わる40歳以上の社員などを対象に100人程度の希望退職者を募集すると発表した。これはグループ全体の従業員の6%にあたる。
また、2017年に開業したばかりの地上18階建てビルを売却する予定との話も飛び出した。東洋経済が報じたこのニュースに対してエイベックス側は「現時点で決定した事実はない」としながらも、「構造改革を進めており、その一環において売却を検討しているのは事実」と発表している。
CD売上減少で支えだったライブ市場が崩壊
エイベックスはこの数年、CDの売り上げ減少を背景にライブ・イベント事業に舵を切っていた。
ライブ関連の業績が良かった2018年3月期の決算ではライブ関連の売上が455億円で、音楽パッケージは365億円。ライブの方がCDの売上を圧倒的に上回っている。
この傾向は現在も変わらず、2020年3月期はライブの売上が377億円で、音楽パッケージは258億円。音楽配信が116億円まで伸びているが、パッケージと配信を足してもライブとほぼ同じである。
だが今年、新型コロナウイルスの世界的な蔓延により、音楽イベントやライブは軒並み中止となった。
もちろん、音楽業界としては是が非でもライブを再開させたい。11月3日には、THE YELLOW MONKEYが東京ドームに1万9000人(最大キャバは4万6000人)を集めてコンサートを敢行し、大型音楽イベント再開への先便をつけた。EXILEや三代目J SOUL BROTHERSなどを擁するLDH JAPANも、来年1月の東京ドームを皮切りに、福岡、愛知、大阪をめぐるドームツアーを行うと発表している。
だが、東京、大阪、北海道などで再びコロナの感染は拡大しており、先は見通せない。
そのうえ、エイベックスの場合、たとえ以前のように当たり前にライブを開催できる日常が戻ったとしても、もう一つの大きな問題がある。それは“スター不在”だ。
2018年3月期業績の資料にある「2018年3月期累計主なライブ・イベント」としてあがっている公演を見ると、AAA、東方神起、BIGBANG、EXO、iKONといった名前が並ぶ。しかし現在、これらの人気グループは様々な困難を抱えている。
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