スカイラインGT-Rのボディカラーを再現した「名車インクコレクション」登場! 万年筆インクの楽しみ方はどこまでも広がる

文=他故壁氏
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 いま、空前のインクブームが巻き起こっています。

 主役は万年筆用のインクです。瓶に入ったカラフルなインクが各メーカーから発売され、高価なものでありながら飛ぶように売れております。

 若い方だけでなく、シニアにもその層は広がり、万年筆インクはまさに百花繚乱の時代を迎えています。

 確かにカラフルなインクで書いた文字は綺麗で可愛く、自己表現にも最適です。その色も「ただ何となく綺麗だから」ではなく、カラーそのものにバックストーリーがあるものが増えました。街の情景、和の風合い、海外のイメージ──万年筆インクにはそういった「設定」がつき、その「設定」からまた想像が膨らみ、購買意欲をそそるのです。

 さて、今のインクブームについて、もちろん色が増えたことは歓迎できるわけですが、わたしはひとつの不満を持っていました。

 まだまだ色を選ぶ際の「設定」に幅がないなあ、と。

 わたしが思い浮かべていたのは、プラモデル用の塗料です。プラモデルの塗料は、まず塗りたいプラモデルが手許にあって、そこから購入に至るものです。そしてそのカラーは大抵、現実にあるもの(仮にアニメの世界のものであったとしても「色設定」はありますよね)です。

 例えば、ジャーマングレイ、第二次世界大戦時のドイツ戦車のカラー。

 例えば、エアスペリオリティーブルー、現用のアメリカ海軍戦闘機のカラー。

 例えば、ガングレーメタリック、日産スカイラインGT-R〈BNR32〉のカラー。

 そういう、「ピンとくる色」が欲しかったのです。現実にあるものの色、わたしにも想像できる色。ただ、こういう色の選び方って、主流ではないような気もします。戦車の色だの戦闘機の色だの車の色だのでは万年筆インクを選ばないですよね。だから、「そういうのはなくても仕方がない」と思っていました。

 でも。あったのです。スカイラインGT-Rの色はあったのです。

 今回ご紹介する株式会社ワキプリントピアの「名車インクコレクション」は、歴代GT-Rのボディカラーを再現した万年筆用インクです。

 2019年、スカイラインGT-R〈BNR32〉をイメージした万年筆とインクのセットが発売されました。日産自動車監修、セーラー万年筆製造のハイクオリティ万年筆にセットされていたインクが、GT-R〈BNR32〉のボディカラーを模したガングレーメタリックでした。

 本製品はGT-Rファンに好評で、特にインクは単品販売が待たれていました。そして翌2020年、そのインクは「名車インクコレクション」と名づけられ、単品販売されることとなりました。GT-R万年筆に附属していた20ミリリットルのミニボトルではなく、フルサイズ50ミリリットルにモデルチェンジしての登場です。

 また、万年筆に附属していた色はガングレーメタリック1色のみでしたが、「コレクション」と銘打つ通り、今回は3色のカラーが用意されています。

 書く紙によって色合いが異なることもありますので、今回は試筆用紙として神戸派計画の「グラフィーロ」とペンサルーンの「ヌルリフィル」を使用しています。写真で穴が空いたシステム手帳リフィルの形をしているものが、紙ではなくポリプロピレンを主材料としたユポで作られた「ヌルリフィル」です。

 まずは単品販売の要請から誕生した、ガングレーメタリック。

 1989年に「GT-R」という特別な名前を背負って登場したスカイラインGT-R〈BNR32〉には、全日本ツーリングカー選手権で優勝するという使命がありました。GT-R〈BNR32〉は翌1990年の全日本ツーリングカー選手権で見事に優勝し、そこから新たな伝説が始まりました。

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 インクボトルのラベルは、実車の補修用タッチペンのデザインを踏襲しています。大書されている〈KH2〉は、タッチペンのカラーナンバーです。万年筆で書いてみると、グレーの中にメタリックの反射を思わせる濃淡が発生します。セーラー万年筆による調色は見事で、脳裏に浮かぶGT-Rのボディカラーとこの筆跡はほぼ一致します。

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 今回の50ミリボトルからは、さらに2色の追加カラーがあります。

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 ひとつは、ミッドナイトパープル。

 このカラーを持つスカイラインGT-Rは、1995年に発売されたGT-R〈BNCR33〉です。〈BNR32〉を改良強化した〈BNCR33〉は、まさにGT-Rの進化形であり、そして新たなGT-R伝説の始まりでもありました。

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 インクは濃厚な風合いの、暗めのパープルです。90年代の艶めかしい色合いが手許で蘇るような、そんな印象を受けます。

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 そしてもうひとつが、ベイサイドブルー。

 このカラーが採用されたGT-R〈BNR34〉は、1999年に発売になったモデルです。映画『ワイルド・スピードMAX』(日本封切2009年10月)でも主人公オコナーがこのGT-Rに乗っていましたね。

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 インクはその鮮やかなボディカラーを再現しています。はっとするような青が綺麗です。

 この3つのカラーは、実車に興味がない方でも普段使いにお薦めできると思います。わたしは特にベイサイドブルーが気に入りました。

 今後もこういった様々な「設定」のカラーが増えていくことを願ってやみません。皆様もぜひ、そのインクの「設定」に思いを馳せ、いろいろな色にチャレンジしてみてください。

(他故壁氏)

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