電通の「社員個人事業主化」はリストラか働かせ放題か?

文=宮西瀬名
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労基から是正勧告を何度も受けた電通、苦肉の策か

 電通は同社に勤務する新入社員が2015年に過労自殺し、社会問題化している。事件を受けて同社は労働環境の改善に努めるとしたものの、昨年9月にも三田労働基準監督署から是正勧告を受けていた。残業時間の上限に関する労使協定(36協定)に関する労基法違反に関するもので、2018年度に営業関連部署で月75時間を超えた事例が4件、事前申請をせずに上限を延長した事例も6件あった。

 同社は「19年度は現時点までに36協定違反は起きておらず、是正勧告内容は全て対応済み。引き続き労働環境改革に注力していく」とコメントしているが、従業員の個人事業主化という戦略からは、もはや労働環境の改善にさじを投げたようにさえ見えてくる。

 すでに株式会社タニタが一部社員を個人事業主に切り替える制度を推進している。同社の谷田千里社長は「働き方改革=残業削減」という風潮に疑問を抱き、働きたい人が思う存分働けて、適切な報酬を受け取れ、従業員の独立を支援する制度「従業員の個人事業主化」を数年前から導入したのだという。

 だが、従業員を個人事業主に切り替える制度で恩恵を受けるのはあくまで企業側だろう。野心を持って独立する社員は、このような制度がなくとも自ら動く。日本の終身雇用制度はとっくに崩壊し、もはや「大企業・電通」の社員とて安穏としていられない時代に突入してしまったようだ。

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