なぜ日経平均株価は29年ぶりの高値を記録したのか 実体経済と乖離した株高の理由

文=斎藤満
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 それでは今の株高に死角はないのでしょうか。いくつか懸念材料があります。まず、「横綱不在」の状況が変わるかもしれません。米国の10年国債利回りは今年の夏に一時0.5%程度まで下がりましたが、このところ上昇気味で、11月中旬に入って1%近くにまで高まっています。バイデン氏が大統領になれば、大型財政政策が予想され、ワクチン開発の進展もあって、金融緩和策の見直しが早まるとの思惑も見られます。

 そうなると国債市場が復活し、投資対象として国債が有力候補に戻ります。高値警戒感の強い株に無理に投資しなくても、安全で十分利回りがあれば国債に乗り換える投資家が出てくる可能性があります。株を売って国債に乗り換える人が多くなると、米国株の下落が大きくなり、日本株にも跳ね返ってきます。

 日本では菅政権のコロナ対策と成長戦略に落とし穴がありそうです。コロナ対策では「警戒」「注視」との言葉だけで、コロナの感染防止策がとられないまま、観光レジャー中心に経済優先のキャンペーンが続いています。寒くなり、人が動けば感染者はどうしても増えます。年末年始の大事な時に感染の第3波が強まると、また規制を余儀なくされる懸念があります。

 またコロナ倒産が増える中で、政府は中小企業の再編を進めようとしています。菅総理に影響力を持つ成長戦略会議の委員が、「ゾンビ企業」の整理、淘汰を進言しています。雇用の約9割は中小企業で働く人々で、彼らが職を失う可能性が高まりますが、コロナ禍ではその受け皿も限られます。同時に、倒産が相次ぐ状況になれば、銀行の貸付は焦げ付き、不良債権が増えると信用不安、金融不安になります。

 懸念材料はいくつもある。日本を含め世界経済が安定する日はまだまだ先になるでしょう。

(斎藤満)

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