万年筆ブームで注目を集めるガラスペンの美しさ・使いやすさの秘密 「ガラス工房aun」製作現場レポート

文=出雲義和
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 2020年は、新型コロナウィルスの流行で外出自粛が求められ、在宅ワークをはじめプライベートでも自宅で過ごす時間が多くなりました。そんな自宅時間を利用して手紙を書く人が増えて便箋の売り上げが昨年よりもアップ。

 そしてもうひとつ、近年の万年筆インクブームの影響で文具店でも売り上げが伸びている筆記具があります。

 個人で複数のインクを所有して様々カラーインクを楽しむユーザーにとって、いちいち万年筆に入れていては何本あっても足りないと、手軽に使えて洗浄も容易なガラスペンに人気が集まっています。

 今回は、今人気の的になっている美しさと実用性を兼ね備えた、倉敷ガラス工房aun(あうん)のガラスペンを紹介します。

ガラス工房aun

 

 岡山県倉敷市、かつて幕府直轄の天領であったこの土地には、アイビースクエアをはじめ大原美術館など歴史や文化を象徴する施設が集まる美観地区があり、岡山を代表する観光エリアになっています。

 2017年3月からこの美観地区の一角にガラスアーティストの江田明裕(えだあきひろ)さんがガラス工房を構えました。以来、お土産に買い求める観光客や、噂を聞きつけた文具ファンが数多く訪れる人気のスポットにもなっています。

 江田さんの手から生み出されるガラスペンは、滑らかな書き心地はもちろんのこと、その美しさは多くの人を魅了してやみません。現在では地元岡山県をはじめ、神戸、大阪、東京の有名文具店でも取り扱われるようになり、人気のモデルは予約入荷待ちの状態が続くほどです。

ガラスペンの製作工程

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倉敷美観地区にあるガラス工房aun

 今回、ガラス工房aunの江田さんのご好意で、製作工程の一部を見せていただきました。ガラスペンができるまでを流れを簡単に紹介します。

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ペン先になるパーツ

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ふたつのパーツから構成されるガラスペン

 ガラスペンは大きく分けて、ペン先と軸の二つのパーツから構成されています、これらはあらかじめ別々に作られて、この二つを繋ぎ合わせることでガラスペンの形が形成されます。

 また、軸の装飾もこの工程の中にふくまれていて、金や銀などの素材(金属)をたくみに活かし金色や七色に輝く装飾や、ペンに中に命を宿したような造形など、軸の中に美しい宇宙が広がるガラスペンが生み出されます。

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パーツの結合

 この工程では、ペン先と軸のそれぞれ二つのパーツをバーナーで一本のガラスペンにつなぎ合わせる作業を行います。

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一晩を釜の中で過ごす

 ペン先と軸をつなぎ合わせてば、さぁこれで完成!ではなく、このあと570度に設定された窯の中に入れられ、ガラスペンから歪みを取り除くための大切な「徐冷」と呼ばれる行程で一晩を過ごします。

 ガラスペンの量産ができないのは、すべてが手作業といえる手間のかかる行程があるためです。

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最後の調整作業

 窯からとり出したガラスペンはこのあと最後の調整にかかります。ペン先の調整に目の細かいペーパーを使われるガラスペン職人さんもおられますが、ガラス工房aunではペン先調整に双眼立体顕微鏡を用いて、文字通り両方の目でペン先を確認しながら、より精密で精度の高い調整を行いようやく完成に至ります。

 ガラスアーティスト江田さんのセンスと技術が、他に類を見ない幻想的でいてかつ実用性の高いガラスペンを生み出す行程を見せていただき、その職人としての仕事に感動を覚えました。

ガラス工房aunの美しいガラスペン

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ガラスペンの中にひろがる海原に漂う海月

 ガラス工房aunの人気ガラスペンのひとつ「海月(くらげ)」はまるで本物のクラゲがガラスペンの中をゆっくりと優雅に海の中を漂っているような錯覚を覚えます。
・海月 15000円(税別)

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中空を漂う儚さと美しさが同居するしゃぼん

 ガラス工房aunの一番新しいモデルのしゃぼんは、光の入射角度で様々な輝きを見せてくれます。子供の頃に遊んだシャボン玉を手の中に包んだような感覚が筆記をより楽しいものにしてくれる1本です。
・しゃぼん 7000円(税別)

字幅調整

 ガラスペンにも万年筆と同様に字幅があります、店頭に並ぶペン先は基本F(細字)が並んでいますが、その場で好みの字幅に調整してくれるサービスもあります。

 字幅はパイロットコーポレションの万年筆を基準にして、EF(極細)、F(細字)、FM(中字硬)、M(中字)、B(太字)、BB(極太)、C(特太字)から選ぶことができます。

ガラスペンのメンテナンス

 ガラスペンも万年筆と同じく毛細管現象を利用した筆記具で、顔料インクやラメが入ったインクはガラスペンの細い溝に詰まりやすく、不向きとする方もいらっしゃるようですが、ガラス工房aunではそういった事は気にせずガラスペンを使って欲しいと話します。

 そのためには、メンテナンスは必要ですが、特別なことではなくインクを使ったあとはしっかり水洗いをすることが大切で、もし汚れが取りづらいといった時には、ぬるま湯につけて毛先が極細のブラシで洗浄する事をすすめています。

ガラス工房aunのアフターケア

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アフターケアも万全なガラス工房aunのサービス

 繊細なペン先は、非常にデリケートな部分で、もし壊してしまったらどうしよう?という気持ちから、なかなかガラスペンの世界に踏み出せない人も多いようです。

 ガラス製ですから乱暴な扱いはできませんが、硬質ガラスをつかったガラスペンは強度に加えて、酸やアルカリに強いといった特徴があります。

 また、誤ってペン先を壊してしまった時には、往復の送料だけで修理をしてくれるサービスもあります、なので安心してガラスペンライフを楽しむことができるのも、ガラス工房aunの魅力のひとつです。

ガラス工房aun(あうん)
住所 岡山県倉敷市本町1-30
電話 086-489-0988
定休日 毎週木曜日
URL www.edaakihiro.com

(出雲義和)

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