テレ朝三谷紬アナ、性的同意問題に「女性がリテラシーを高く持てばいいだけの話」

文=雪代すみれ
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 一方、文筆家の古谷経衡氏は全項目にチェックを入れ、すべては雰囲気だと説明した。

<二人きりでデートに行った間にベロチューなり手つないだりするわけでしょ。最終的には風呂入りに行こうかってなるわけじゃないですか。風呂って言ったらホテルじゃないですか。それは前提としてますがね>
<こういうのに方程式とかなくて言葉じゃなくて雰囲気じゃないですか。全部雰囲気なんです。だから僕は大丈夫だと思う>

 女性陣はどうだったか。タレントの菊地亜美氏は<家に泊まるのは、性行為をしてもいいというサインだ><同じ相手に、毎回、性行為の同意を取る必要はない>の2つにチェックをし、「自分が家に行ってしまった場合は同意と捉えられても仕方がない」と話した。

<女性からしたら、私はですけど、家に行ってもしそういうふうに言われて(性行為の要求)、そういう空気になったら「来てるじゃん」って思われるなって思って、別に言われなくても来た私も悪かったなって思っちゃうと思うんです>

<付き合ってる人じゃない人だとしたら、もう一回会ってるじゃんって思っちゃうんですよ、女性の人に対して。もし付き合ってなくてそういう関係があった人と嫌だと思ってたら会わないじゃないですか。2回目会ってたらちょっと女の子もその気かなって思っちゃうから言えないんじゃないかなって思いますね>

 また、「週刊SPA!」(扶桑社)副編集長の田辺健二氏は<ほろ酔いぐらいなら流れでしちゃうこともあるかもね。だけど酩酊だったらだめですし、ほろ酔いでも僕は同意をとりますよ>と基本的にチェックリストにあったものには当てはまらない考えを示していた。

 しかし、続けて<恋愛テクニシャンの人は雰囲気でいけるんですよ><(女性には)OKという意味での「イヤ」というのは確かにあるらしいんですよ><なんでもかんでも厳密に同意を取りましょうという時代になったら、実はチャンスなのに、その「イヤ」はOKなのにやっぱ額面通りのっていうふうに受け止めてしまってそのチャンスを逃すってパターンも出てくる。だから恋愛弱者にとっては非常に生きづらい時代になるとは思うんですね>と「イヤよ、イヤよ、も好きのうち」の“セックス・チャンス”を逃すことは勿体ないと力説していた。

 こうした出演者らの意見を聞いていた三谷紬アナは、<そもそもリスクがあることをちゃんとわかったうえで女性は動かなきゃいけないと思うんですよ。全部が男性が悪いってなってること自体が私はおかしいと(思う)>と、女性側のリスクヘッジに言及。

 そして三谷アナは、チェックリストを「ばかばかしい」と一蹴した。

<私はですね、女性がリテラシーを高く持てばいいだけの話だと思うんですよこれは。何に対してもリスクがあるんだから家に行かなければいいだけの話だし、二人で飲みに行かなければいいだけの話じゃないですか、その人としたくないんだったら。だからこんなチェックリストを作ってるだけでばかばかしいなって思ってしまいますね>

 他の出演者の発言にも首をかしげたくなるが、特に三谷アナの発言は衝撃的であり、番組内容の一部が紹介された記事がツイッター上で拡散されると(現在該当の記事は削除されている)、「勉強不足」「男性全員を加害者扱いしてるのでは」「被害者を傷つける発言だ」といった様々な批判が集まった。

 「女性がリテラシーを高く持てばいい」と言い放った三谷アナには筆者も全く同意できない。しかし一方で、三谷アナは、街頭インタビューの<判断はやっぱり2軒目とかバーとか明かりが暗いところだったらいいんじゃないかな>というコメントには険しい表情を浮かべ、首を横に振りながら「おかしい」と言い、古谷氏の発言にも<本当に人生を改めてほしいですね>と怒りを露わにしていた。それまでの言動と「女性が自衛すればいい」という趣旨の発言とは非常に温度差があり、三谷アナの真意がわからなかった。

 三谷アナの発言が性暴力被害者を傷つけるものであったことも間違いないが、他の出演者の発言や番組の構成自体にも疑問を覚える部分があり、その点について詳しく見ていこう。

番組は結局、何を伝えたかったのか

 まず、チェックリストは「一つでも当てはまれば性的同意をとれていない」とされており、そのことは番組内でも紹介があった。つまり、チェックリストに当てはまる行為をしていれば、相手を傷つけているおそれがあるということだ。二人でお酒を飲もうが、部屋で二人で過ごそうが、「同意した」ということにはならない。

 前述のように、古谷氏は全項目にチェックをつけ、他の出演者もいくつかチェックをつけていたが、最後までどういった点において性的同意がとれていないか正確な検証や説明がされることはなかった。何が問題なのかを伝えなければ「そういう考えの人もいる」という”お知らせ”であり、むしろ視聴者に「自分が正しいと思っていればチェックリストを参考にしなくても問題ない」という印象を与えかねないのではないか。

 山路氏が<実際そういう行為に及ぼうとしたときに相手が「やめて」と言ったらそこでやめなきゃいけないわけですよね>と発言したことがまだ救いであったが、番組としてチェックリストをどう捉えていたのか疑問が残った。

 また、この問題は被害者がいるものであり、笑い話ではない。にもかかわらず、番組の途中でYouTuberの森田由乃氏が山路氏に”下ネタ”を投げかける場面もあった。

 森田氏がお色気キャラとして出演していることは否定しない。しかし、実際に被害者もいる深刻な問題を取り上げている中で、あまりにもTPOを弁えていないのではないか。また、このコメントの後、山路氏は笑っていたが、もし山路氏が嫌だと感じていたら、女性から男性にだとしてもセクハラである。こういった点からも制作側が性的同意の問題をどこまで真剣に取り上げようとしていたか疑問に感じた。

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