女子高校生が感じているジェンダー不平等 「美人○○」表現やネット上の嫌がらせ、学校教師の進路指導にも

文=雪代すみれ
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Getty Imagesより

 ガールスカウト日本連盟が実施した「ジェンダーに関する女子高校生 アンケート 2020」の結果報告及び分析の発表が、10月11日にオンラインで行われ、100人が参加した。

 10月11日は国際ガールズ・デーだ。世界中の女の子が直面しているジェンダー不平等や、女の子のエンパワーメントへの取り組みを社会に訴える日である。

 本記事ではこのオンライン発表会の一部をレポートする。女子高校生たちがジェンダーについて、どのような関心や疑問を抱いているのか、リアルな実情を知ってもらいたい。

女子高生の89%が「女性の容姿をバカにした表現がイヤ」

 「ジェンダーに関する女子高生調査(以下、女子高生調査)」とは、ガールスカウト日本連盟が、女子高校生年代の女子の可能性を狭める差別や暴力の現状を調査したもの。インターネット上にてアンケートを実施し、47都道府県の高校生年代の女子700人から回答を得た。

 イベントではまず、「メディアやインターネットにある問題点」の報告が行われた。女子高生調査では「性的な嫌がらせや差別をメディアやインターネットで見ている」と回答した人が半数以上であり、例えばメディアでは、社長やアスリートなど本来容姿での判断が関係ない仕事をしていても「美人社長」「美人アスリート」などの表現が用いられていることが挙げられた。インターネット上では、「女性のSNSアカウントに性的なコメントが書かれる」「性被害に遭った女性に対し、“好意を寄せられているのだからありがたいと思え”など二次被害に遭っていること」といった意見が出た。

 また「メディアでの女性の容姿をバカにした表現が嫌」と回答した人は89%にも及び、多くの女子高校生が不快感を覚えていることがわかる。例えば、女性が何か発言をすると「その見た目で」「ブスのくせに」など、容姿に関連付けられるやり取りを不快だと感じているとのこと。実行委員の春日さんは「性別にかかわらず、容姿で人の価値を決めるのはその人の可能性を狭める」と話す。また、実行委員のほのかさんは「メディアは身近なもので、私たちは無意識のうちに影響を受けます。固定観念を与える要因になっていると思うので、変化していってほしいです」と述べた。

ジェンダーバイアスは学生時代から社会人になっても影響

 女子高生調査では「女の子だからという制限を受けたことがある」という設問に47%が「経験がある」と回答した。内容としては「女の子だからバスケや野球はしてはいけないと言われた」「親は弟への学費は惜しまないのに自分には学費をかけたがらない」といった体験が報告されている。一方で、男らしさの強要も指摘し、「“女の子だから”の制限と同じように、“男の子だから”の制限もあり、男子も諦めたり、“男子だから”という理由で力仕事を担わされたりしているかもしれない」と分析された。

 また「学校の先生は男女平等に接していると思わない」と回答した人が23%、「先生は進路指導で男女で異なる期待をしていると思う」には24%がYesと回答。具体的には「先生が女子には文系を勧めてくる」「男子は大学進学、女子は就職を勧める」といった声があった。

 男女で進路指導に差があると感じている人は24%いたが、「女子にとって大学教育は男子ほど重要ではない」と回答した人は4%しかいなかった。実行委員のみくさんは「女子にとっても大学進学は重要であるにもかかわらず、進路指導に差を感じている人がいるならば、やる気や機会が損なわれるといった影響があるのではないかと思います」と述べている。

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