「嫌いボタン」がTwitterを地獄にする可能性 リプライより気軽な攻撃に

文=雪代すみれ
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GettyImagesより

 Twitter社が新機能「嫌いボタン」の導入を検討していることが明かされ、注目を集めている。

 今月18日、同社の開発リーダーであるケイボン・ベイポー氏が「嫌いボタン」について模索していると言及。まさしくその現場となるTwitter上で賛否が巻き起こった。

 11月25日放送の『グッとラック!』(TBS系)でもこの話題を取り上げた。番組ではタレントの中川翔子氏に取材。中川氏は“嫌い”ボタンの導入には「絶対反対」と、強く抗議する立場だ。絵を描くのが好きで時々Twitterにも描いた作品を載せているが、<そこにわざわざ嫌いボタンを押されたりしたら多分絵を描くのがイヤになって載せなくなっちゃう気がします>と話した。

中川氏<わざわざ“嫌い”と言いに行くって攻撃だと思うんですよね>
   <もしそれ(嫌いボタン)ができたらTwitterやめちゃうかもしれないですね>
   <言葉って思った以上に人の心を殺すかもしれない>

 誹謗中傷についても<人格否定とか全くのうそとか書き広めている人とか目に入ってくるとつらいですよね>と述べた。

 番組が200人を対象にしたアンケートでは、賛否がほぼ半々に分かれた。「嫌いボタン」に賛成派は、「デマやフェイクニュースを見極めるのに役に立つ」「“嫌い!”が多数つくことを恐れ誹謗中傷やヘイトスピーチの抑止力となる」「自然災害や大事故など”いいね!”を押しづらいが広めた方がいいニュースを拡散できる」「“嫌い!”をつけた人をブロックできる」といった意見を挙げる。

 一方、反対派は、「ネット上のいじめにつながる」「炎上の火種になりやすい」といった懸念を示している。

Twitter「嫌いボタン」はむしろデマ拡散装置になる?

 『グッとラック!』のスタジオでも意見が割れた。反対派のMC・立川志らく氏は「ご飯がおいしかった」「子どもがこんなことをやっていた」など日常にあったことのつぶやきに「嫌い」をつけられたら、<何って(不愉快に)なりますよ>と話す。

 2ちゃんねる開設者でコメンテーターの西村博之氏も反対派で、<「嫌いボタン」でフェイクニュースが防げるというのはまず間違いだと思うんですよね>と意見。デマツイートの投稿者がブロック機能によって“嫌い”を押す人をどんどんブロックすれば、結局“嫌い”が押されていないデマのツイートが残ってしまう。むしろ、デマを拡散させやすくなってしまう恐れがあると解説した。

西村氏<デマを指摘するニュースが出たとしても、反発する人がいっぱいいるときって“嫌い”を押しちゃうので、真実を書いたとしても“嫌い”が増える場合があるので、フェイクニュース対策としては使えないと思うんですよね>

 一方、賛成派であるコメンテーターの田村淳氏は、“嫌い”という言葉は強すぎると指摘したうえで<YouTubeでもgoodとbadがあって、そのことによって発信者の品質が担保できるというのはあると思うんです>と肯定。

 これに立川志らく氏は<YouTubeはある程度作品だから、高評価・低評価がつくのはいいと思うんです>と反論し、YouTubeと日常を呟くTwitterでは性質が違うと言及した。

 また田村淳氏は<誹謗中傷する奴が、“嫌い”というボタンがあるから、コメントを書かなくなるということが俺はあるんじゃないかなと思って、一回導入すればいいと思うんですよ。こういう新しい企業は実験してやばいと思ったら(すぐに)やめることができる企業だと思うので、導入してみればいいと思うんです>と、実験的な導入を提案している。

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