入管収容施設で糞尿をまき散らし逮捕された被収容者。彼が訴えようとしたこと

文=織田朝日
【この記事のキーワード】

 医師から罵倒されることも、よくあったという。壁までヤドラさんを追い詰めて逃げられないようにしてから「お前は犯罪者だ! 俺の言う事が絶対だ! 嫌なら国へ帰れ」など怒鳴り続けられたと証言している。

 たまらなくなったヤドラさんは身を縮めて目をふさいだが、前述した医師は強引に口をこじ開けてきて「しゃべれないか!?」と言い、その次に目をこじ開けて「目が見えないのか!?」と侮辱した行動をとったそうだ。「あれは、わざと怒らせて、手を出させようとしてやっているんじゃないかと思った」とヤドラさんは悔しさ交じりに語る。

 またある日、嫌がるヤドラさんを複数の職員たちに押さえつけさせ、無理やり点滴を打ったこともあった。どんな薬品が投与されるのかも説明されず、恐怖で泣き叫ぶヤドラさんに対し、常勤医は准看護師にさらに注射を打つように命令したという。准看護師は「暴れているので危険」と言ったが常勤医はやめようとせず、さらに、点滴の液体に注射の液体を混ぜるように命令していたとヤドラさんは証言する。

 挙げ句の果てには「日本人の税金をお前たちのために使わない、だから診療しない」と言われたこともあったという。ヤドラさんは、「あなたは本当に医者の勉強をしてきたのですか? 医者は人を助けるためにいるものじゃないのか? あなたは中村さん(アフガニスタンなどで医療活動に従事した医師の中村哲氏のこと)と全然違う!」と訴えたが、すぐに「部屋を出ていけ」と言われた。

 すべてのことは監視カメラで撮ってあるはずだから、そのカメラを見れば真実が分かるとヤドラさんは言う。

「嫌がらせされ続けると頭おかしくなるよね」

 9月に解放された日系ブラジル人のアンドレさんも、入管では常勤医にとてもひどい目に合わされたと語っている。

「食事が食べられないだけなのに『ハンストだろ?』と責められ続け、20日間シャワーを浴びせてもらえなかった。常勤医が『GOGO制圧!』と言って、職員たちに体の自由を奪われたこともあった。しかも常勤医も一緒になって俺の足をひねり押さえつけていた。情報開示請求して、その時の映像を求めれば、常勤医が本当に酷いことがわかるのに、もらうことはできなかった。
 でも、俺はなんとか我慢したほうだと思うけど、やっぱり嫌がらせされ続けると頭おかしくなるよね、だからその人(ヤドラさん)、悪くないよ」

 11月に解放されたイラン人のマジッドさんもこのように証言する。

「あれは医者なんかじゃないよね。解放を求めてハンストをしていたら車いすの私に、『ずっとハンストやっていればいい』などの暴言を吐いてきた。だから『あんたは医者として恥だ。人間じゃないよ』と常勤医に向かって言ったら、顔を真っ赤にしていた」

1 2 3

「入管収容施設で糞尿をまき散らし逮捕された被収容者。彼が訴えようとしたこと」のページです。などの最新ニュースは現代を思案するWezzy(ウェジー)で。