
GettyImagesより
「学校の健康診断で上半身裸になる必要はあるのか」——22日、京都新聞が報じたこの問題が、ネット上で注目を集めている。
京都新聞によれば、同社の双方向型報道「読者に応える」に女子児童の保護者から<子どもはとても恥ずかしい思いで健診を受けたと話していた><着衣で健診している学校もあると聞く。なぜブラジャーまで外さないといけないのか>など、健康診断の方法に疑問の声が寄せられているという。
ネット上でも「男女一緒に並ばされて嫌だったうえに『隠すな』と言われた」「上半身裸で教室から保健室まで移動させられた」「女子の健診中に男性教師がいてイヤだった」など健康診断のイヤな記憶を語る声が目立つ。
26日の『グッとラック!』(TBS系)ではこの問題を取り上げ、上半身裸の健康診断に反対する署名活動を行っている高田愛子さんを取材していた。
高田さん自身、<学校の健康診断で学校側から強いられる形になって男性医師に裸を見られたことがショックでした。裸になる行為を自分が同意しない形で強いられたというのがとても嫌だったのだと思います>と、同意なく男性医師に裸を見られ、「自尊心を傷つけられた」と経験を持つ。高田さんは当時、裸になることに疑問を抱き担任教師に必要性を聞いたものの、明確な回答がされることはなかったそうだ。
一方で、医師側の理屈もある。番組に登場した医師によると、上半身裸になることには、「心臓や肺の音を正確に聞き取る」「胸や背骨の状態を目で確認する」「虐待やいじめの発見」といった理由があるという。<小学生から中学生にかけては、胸や背骨の病気になりやすい傾向があり、学校の健康診断は重要>とのことだ。
なお、京都府医師会が2018年に行った調査によると、京都市内の小学校を除く175校中124校、約7割が男女とも上半身裸で健康診断を行っていることが明らかになっている。
合理的な理由があっても、「大人の配慮のなさ」に傷つく子どもたち
『グッとラック!』のスタジオでも学校の健康診断で上半身裸は必要なのか、どういった配慮が必要なのか議論が交わされた。
フリーアナウンサーの中村仁美氏は<30年前くらいのことですけど未だに覚えてます。上半身裸ですごく恥ずかしかった>と告白。大人の配慮のなさが子どもを傷つけるとも指摘した。
中村氏<体重を計るじゃないですか。そのときに先生が体重を読み上げるんですよ。それを先生のお手伝いみたいなお友達の児童が書いてるんですよ。それもすごい恥ずかしくて、全体的に「子どもだから大丈夫でしょう」っていう大人の勝手な判断の配慮のなさがすごく嫌だったなって、未だに30年数年経っても覚えているので。勝手に大人の判断で「大丈夫だから、こんなの気にしないで」っていうのはよくないなって思いますね>
また続けて、子どもは「恥ずかしい」と思っていてもなかなか言い出せないことにも触れ、<同じ年齢でも気にする子と気にしない子がいて、「私が気にしすぎなの?これは言っちゃいけないんだ」って思ってしまう>とも話していた。
虐待案件も対応することがあるという髙橋知典弁護士は、医師の指摘のとおり健康診断は虐待発見の大事な機会であることに触れた。通常の着替えの場では<自分が暴力を受けていると知っている子が誰にも見られずにぱっと着替えちゃって、誰も気が付かずにその後も虐待を受け続けていることもある>ため、医師に診てもらう機会は重要だと説明。一方で自身が子どもの頃は男女別で分かれていたものの、教室で服を脱ぎ上半身裸で保健室まで行った記憶があると話し、<脱ぐタイミングとかはもうちょっと選べたりとか配慮があっていいんじゃないかな>と、子どもへの配慮の必要性にも言及した。
こういった配慮は「女子に必要」と限定されがちだが、裸を見られることに抵抗がある男子もいるだろう。性別関係なく個々のプライバシーへの配慮が必要だ。
コメンテーターで東大クイズ王の伊沢拓司氏は<男女という問題ではなくなってくるかなと思います>と指摘。また、日本の女性医師の割合はOECDの平均より20%近く低いため、女性医師を増やすことは大事ではあるものの、<脱ぐこと自体が恥ずかしいということは全然あるわけですから>と、同性同士であっても配慮が必要と説明した。
1 2