『鬼滅の刃』PG-12で戸惑う保護者に伝えたいこと。子どもの信頼につながる対話の糸口に

文=和久井香菜子
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子どものキャラに合った質問をしよう

 友達を大事にする子なのか、スポーツや技に関心があるのか。人によって興味の方向はまったく異なりますね。例えば技に興味がある子なら「水の呼吸ってどんなの?」「型を覚えられなかったから教えて」と教えてもらうのもよいでしょう。

 人物観察が好きな子なら、「煉獄さんのお父さんは、どうして後ろを向いていたんだろうね」とか、キャラの心理に突っ込んでみるといいでしょう。その時、その人がどんな気持ちだったかを想像するのは重要です。「ああ楽しかった」「かっこよかった」というだけではなく、登場人物たちのさらに深い動機や心情を推し量る力を養ってあげると、社会性を育んでいけます。

 残念ながら学校ではこうしたトレーニングをあまり行いません。国語の授業で、「筆者の気持ちはどれでしょう?」という選択問題はありますが、模範解答を選ぶだけ。先生の用意した正解を当てるのではなく、自分の言葉で語ることが大事です。

親も自分の感想を伝えよう

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GettyImagesより

 小学校の先生はよく生徒に「将来の夢は?」と聞きますね。逆に生徒が「先生の夢はなんですか?」と聞いても「先生はいいの」などとはぐらかしてしまいがちです。先生が言わないことを子どもが言えるわけがありません。大人もしっかりと「自分はこう思っている」と意見を言った方が良いです。

「僕が印象に残ったのは、煉獄のお母さんがでてきたところだなあ、なぜなら……」
「無限列車はどこに向かっていたのかな、私はこう思うな」

というように、自分はどこに感動をしたのかを親が言葉にしてみてください。それが子どもにとって「自分の意見を言っていい」という許可になるんです。

 親子の会話は、つい親が上の立場に立ったポジショントークになりがちです。照れくさいかもしれませんが親という立場を脇に置いて、「煉獄さんかっこよかった、彼のようになりたい」「伊之助がかわいかった」など、映画を見て親御さんが抱いた正直な感想を伝えてください。

「探究学習」してみよう

 いま、学校教育では「探究学習」がキーワードになっています。図書館やインターネットを利用して情報を収集することも、授業の課題になります。そこで、『鬼滅の刃』をネタにして探究学習をしてみるのもアリだと思います。

「無限列車のSLの種類は?」
「竃門ってどう書くんだろう?」
「人間の背骨は何本あるのかな?」

 自分が興味を持ったことを調べるのは、とても楽しいものです。子どもにとって「勉強は楽しい」という経験になります。

 教養があると、同じ映画を観てもいろんな見方ができて奥行きが深まります。陰陽五行は火・水・木・金・土ですが、鬼滅の呼吸の基本は日から始まり、炎・水・雷・岩・風。ポケモンだとほのお、みず、でんきなど18種類。そういうものを比べるのも面白いでしょう。鬼滅の舞台は大正時代ですが、明治や昭和とどう違うのかを調べたら、歴史が大好きになるきっかけになるかもしれません。

 子どもは「お母さんはわかってくれない」「お父さんは私に関心がない」と思ったら、どんどん自分の世界に入って行ってしまいます。しばしば「うちの子はゲームにはまって、ろくな返事もしない」と嘆く親御さんがいますが、子どもがゲームを好きなら、一緒にやってみればいいじゃないですか。

 今の親世代は「子どもの頃、親とキャッチボールをした」という人はたくさんいるでしょう。今ならそれはポケモンやスプラトゥーンです。一緒にゲームをしたことが子どもにとって良い思い出になっていくと思います。鬼滅もゲームも、どうか親子の関係を深めるきっかけにしてください。

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