Kis-My-Ft2(以下、キスマイ)の二階堂高嗣氏主演、北山宏光氏出演及び原案のドラマ作品『快感インストール』(dTVにて配信予定)がネット上で物議を醸している。
『快感インストール』は<未経験男子が、 女性のおっぱいに触れるとその女性の快感を自分にインストールできる特殊能力を手に入れ、 親友とともに奮闘するという男子垂涎のオリジナルストーリー>といった内容で、12月4日よりdTVにて配信予定。
11月27日に公開された公式YouTube動画(https://youtu.be/fIRJNXk0q98)では、さらに詳しいあらすじがわかる。
<恋愛未経験の一浪大学生・タカ(二階堂高嗣)とリア充大学生・カズマ(北山宏光)は幼馴染で大の仲良し。大学に入学したタカは、サークルでの飲み会をきっかけに、女性のおっぱいに触れるとその女性の快感を自分にインストールできる特殊能力「快感インストール」を手に入れる。
2人はこの素晴らしい能力を使って、様々な女性のおっぱいを触ろうと奮闘する。そんな時、タカは学校のマドンナで女優でもあるノゾミ(浅川梨奈)と知り合い、急接近していく。カズマのサポートも受けながら、何とかして恋愛を成就させたいタカの恋路の行く末は…。>
なお、脚本・演出は『全裸監督』(Netflix)などの脚本を担当した山田能龍氏だ。
「Hでおバカなラブコメ」だが、典型的なホモソーシャル
27日に予告映像が公開されると、ファンの反応も二分。ネット上では「楽しみです!」「dTVだからこそできた企画ですね」と喜ぶファンの声と、「気持ち悪い」「なぜ男同士の友情を描くのにエロが必要なのか」「女子学生はおっぱいではなく人間です」「キスマイにもジェンダーのことを学んでほしい」といった批判が混在している。
こうした反応からか、同日プロデューサーの鈴木健太郎氏はTwitterに<Hなドラマなんて…と決めつけないでください。友情で泣けるドラマなんです。 アイドルのドラマなんて…と決めつけないでください。Hでおバカなラブコメです。 キスマイ北山・二階堂と山田能龍、この3人でしか作れないブロマンスドラマです。>とツイート。
しかし批判の主旨は「キスマイにHなドラマをやってほしくない」というものでは全くなく、この反論は解像度が低すぎる。男同士の友情を深めるために女体を利用することは典型的なホモソーシャルであり、エロと性暴力の区別が付いていないから批判されているのだ。
「わざと胸を触る」のは痴漢
公開されているあらすじには<2人はこの素晴らしい能力を使って、様々な女性のおっぱいを触ろうと奮闘する>とあり、『快感インストール』では意図的に女性の胸を触る行為が描かれているとわかる。どのように“奮闘する”のかはわからないが、同意なく胸を触るのは、性暴力であり、そのことへの批判的な視点なくラブコメ作品としてしまって良いのだろうか。
現実には偶然を装い故意に身体を触る痴漢が存在する。2018年頃からTwitter上でぶつかり男の報告は何度もされているが、今年7月には東京・蒲田駅にて、痴漢目的で女性の胸に腕や肘を当てた男が逮捕されている。
非公開: 痴漢目的の「ぶつかり男」が蒲田で発生、体当たりして体を触る卑劣な手口
東京都大田区の東急蒲田駅で、胸を触る目的で女性に体当たりしたとして45歳の男が暴行容疑で逮捕された。容疑者は今年6月12日から7月8日にかけて、通勤中…
痴漢の加害者臨床を行っている斉藤章佳氏の『男が痴漢になる理由』(イースト・プレス)では、痴漢行為が始まったきっかけとして、「たまたま鞄を持っていた手の甲が前に立っていた女性のおしりに触れ、その後バレないように手の甲を押し付けた」ケースが紹介されている。ちなみに上記で紹介した蒲田駅の事件も、報道によれば最初はたまたま腕が胸に当たったことが、犯行を思いつくきっかけだったそうだ。満員電車など混雑している場所では、わざとでなくても他人の身体に触れてしまうことはあるだろう。しかし、そういった偶然をエッチなネタとして消費することは、現実に傷ついている人を無視しているのではないか。
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